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限定承認

限定承認とは
相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認することをいいます。
限定承認は一種の清算手続きで承継した相続財産を換金して相続債務等の弁済に当てることになります。

 

限定承認のメリット
負債などの消極財産が積極財産より多いかどうか判明しない場合や、先買権といって特定の相続財産を取得することができる制度が用意されていることから、相続財産の中にどうしても手放したくない財産がある場合などは、限定承認を選択するメリットがあります。

 

限定承認のデメリット
限定承認は家庭裁判所に共同相続人全員で申述の申立をしなければならず、財産目録の調製をしなければならないなど手続きが煩雑です。
また譲渡所得税が発生するなど税務上注意しなければならない点があります。

 

限定承認の手続

相続人が数人いる場合は、限定承認の申述は、相続人全員で行う必要があります。

 

相続放棄者がいる場合

相続放棄をした相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされますので、相続放棄をした相続人を除く相続人全員で限定承認の申述の申立をすることができます。

 

ただし、相続人が配偶者と子である場合、第一順位の相続人である子が全員相続放棄をしてしまうと、第二順位(直系尊属)、第三順位(兄弟姉妹)の者が相続人となり、限定承認を行うためにはこれらのものと共同して限定承認の申述申立をしなければならなくなってしまいます。

 

相続人の中に単純承認をしたものがいる場合

単純承認をすると以後、当該相続人は相続放棄および限定承認をすることができなくなります。限定承認は相続人全員で行う必要があることから、相続人の中に単純承認をした相続人がいると、他の相続人も限定承認をすることができないと解されています。

 

限定承認の申述申立

申立期間
限定承認は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続開始地(被相続人の最後の住所地)家庭裁判所に申立てなければなりません。

 

財産管理人
相続人が一人の場合は、その者が財産管理人となります。
相続人が数名の場合は、家庭裁判所が相続人の中から財産管理人を選任します。
財産管理人は相続財産の管理、換価、相続債権者への弁済など相続財産の清算手続きを行います。

 

公告・催告
官報公告
限定承認者は、限定承認をした後5日以内(相続財産管理人の選任があった場合は、選任があった後10日以内)に、すべての相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び2ヶ月を下らない一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を官報により公告しなければなりません。

 

催告
知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければなりません。
弁済のための相続財産の換価
相続財産を換価するためには、競売手続きによらなければなりません。
先売買権行使による相続財産の取得
限定承認者は、裁判所が選任した鑑定人の鑑定価額以上の金員を支払うことにより競売を止め、相続人自らが相続財産を買い取ることができます。
先買権を行使するために家庭裁判所に鑑定人の選任を申立てる。
家庭裁判所が鑑定人を選任する。
鑑定人による鑑定評価
先売買権を行使しようとする相続人は、鑑定価額以上で相続財産を買い受ける旨の意思表示を相続財産管理人に対しておこなう。
相続財産管理人に、鑑定価額以上の金銭を支払う。

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