相続分
相続分には指定相続分と法定相続分があります。
被相続人は遺言によって相続分を指定することができます。遺言による相続分の指定がないときは民法に規定する法定相続分に従うこととなります。
指定相続分
被相続人は、遺言によって共同相続人の法定相続分の割合と異なる相続分を指定することができます。
また、その指定を第三者に委託することができます。
相続分の指定は必ず遺言でしなければ効力を生じません。
遺言書記載例(相続分の指定)
第○条 遺言者は次のとおり、相続人の相続分を指定する。
妻Y 5分の3
長男A 5分の1
次男B 5分の1
特定の相続人一人に全遺産を相続させる(結果、他の相続人の相続分を零と指定したことになる)遺言も有効ですが、他の相続人の遺留分を侵害する場合は、遺留分減殺請求を受けることになることに注意を要します。
法定相続分
遺言による相続分の指定がないときは、民法に定める相続分(法定相続分)によります。
相続は、相続が開始した日(被相続人の死亡日)に効力を有していた法律が適用されます。
特に注意を要するのは、昭和55年12月31日以前に発生した相続です。
昭和55年の法改正(昭和56年1月1日施行)で配偶者の相続分が引き上げられました。
同日以前に発生した相続手続きをおこなうときは、法定相続分が現行の法定相続分と異なりますので、注意してください。
相続順位 | 相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|---|
第1順位 | 配偶者および子 | 配偶者2分の1 |
子2分の1 |
第2順位 | 配偶者および直系尊属 | 配偶者3分の2 | 直系尊属3分の1 |
第3順位 | 配偶者及び兄弟姉妹 | 配偶者4分の3 |
兄弟姉妹4分の1 |
※非嫡出子の相続分
平成25年法改正以前は、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1でした。
平成25年9月4日最高裁判所決定により婚外子相続分に関する違憲決定が出されたことをうけて、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1という民法の規定を削除する民法の一部改正が行われ、平成25年12月11日から改正法が施行されました。
改正法(嫡出子と非嫡出子の相続分を同等とする改正)は違憲決定が出された翌日の平成25年9月5日以後に開始する相続に適用するとされました。
〜嫡出でない子の相続分に関する相続登記の取扱〜
1、平成25年9月5日以後に開始した相続を原因とする相続登記
改正法を適用して処理する
2、平成13年7月1日以後に開始した相続を原因とする共同法定相続登記
(遺言や遺産分割による相続でないもの)
嫡出子と非嫡出子の相続分は同等であるものとして、処理する
3、平成13年7月1日以後に開始した相続における遺産分割や遺言に基づく相続登記
最高裁決定によると「本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判、その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的となった法律関係に影響を及ぼされることはない」とされていることから、遺産分割または遺言の内容に従って処理する
※平成13年7月1日以後のされているのは最高裁決定において「本件規定は遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたものというべきある」旨が判示されていることによる
相続順位 | 相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|---|
第1順位 | 配偶者および子 | 配偶者3分の1 |
子3分の2 |
第2順位 | 配偶者および直系尊属 | 配偶者2分の1 | 直系尊属2分の1 |
第3順位 | 配偶者及び兄弟姉妹 | 配偶者3分の2 |
兄弟姉妹3分の1 |
相続順位 | 相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|---|
第1順位 | 配偶者および直系卑属 | 配偶者3分の1 |
子3分の2 |
第2順位 | 配偶者および直系尊属 | 配偶者2分の1 | 直系尊属2分の1 |
第3順位 | 配偶者及び兄弟姉妹 | 配偶者3分の2 |
兄弟姉妹3分の1 |
相続順位 | 相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|---|
第1順位 | 配偶者および子 | 配偶者3分の1 |
子3分の2 |
第2順位 | 配偶者および直系尊属 | 配偶者2分の1 | 直系尊属2分の1 |
第3順位 | 配偶者及び兄弟姉妹 | 配偶者3分の2 |
兄弟姉妹3分の1 |
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