不動産贈与と税金

不動産を贈与すると贈与税以外にも様々な税金が課税されます。
贈与税以外に係る主な税金として、不動産取得税、登録免許税、取得後に毎年固定資産税が課税されることとなります。

 

ここでは、不動産の贈与を受けるとどのくらいの税金が発生するのかを事例で確認してみます。

事例
65歳の父が40歳の子に次の不動産を贈与した場合

 

土地
相続税評価額1,600万円
固定資産税評価額1,400万円

 

家屋
相続税評価額700万円
固定資産税評価額700万円

 

暦年課税方式の場合

贈与税 720・5万円
(1600万円+700万円−110万円)×45%−265万円

 

不動産取得税 42万円
1400万円÷2×3%(土地) 700万円×3%(建物)  

 

登録免許税 42万円
1400万円×2%(土地) 700万円×2%(建物)

 

合計 804・5万円

 

この額を見ていただければ、暦年課税方式の下では、高い税金が課税されることがお分かりいただけると思います。

 

また、不動産取得税、登記の際の登録免許税も馬鹿にならないこともお分かりいただけると思います。

 

暦年課税方式では、非常に高い税金を負担しなければならないので不動産を贈与するのはかなり大変です。

 

では、高額な財産を一度に贈与する場合に効果的であるといわれる相続時精算課税制度を利用しての生前贈与の場合はどうでしょうか

 

相続時精算課税方式の場合

贈与税 0円
(1600万円+700万円−2500万円(控除額)

 

不動産取得税 42万円
1400万円÷2×3%(土地) 700万円×3%(建物)  

 

登録免許税 42万円
1400万円×2%(土地) 700万円×2%(建物)

 

合計 84万円

相続時精算課税方式では最大2500万円までの控除が認められますので本ケースでは贈与税はかからないことになります。

 

一見メリットが大きいように見えますが、デメリットもありますので注意が必要です。

 

特に、相続税が課税される可能性があるほどの財産を持っている人は、相続時精算課税方式を選択するメリットは少ないといわれています。なぜなら、相続時精算課税の適用を受けて贈与した財産はすべて相続税の課税対象財産に含まれるからです。

 

小規模宅地の評価減特例を受けることができる不動産を生前贈与してしまうと、相続の際、小規模宅地の特例が適用されなくなってしまいますので、相続税が発生する可能性がある人は慎重に検討する必要があります。
また、不動産取得税と登録免許税の負担も見逃せません。相続の場合に比べて贈与の場合はこれらの税負担が大きいのです。

不動産取得税 登録免許税
贈与

固定資産税評価額÷2×3%(土地)
固定資産税評価額×3%(建物)

固定資産税評価額×2%
相続 非課税 固定資産税評価額×0.4%

相続で不動産を取得した場合、不動産取得税は課税されませんし、登録免許税は贈与の5分の1になります。
本ケースの場合ですと、相続で取得すれば42万円の不動産取得税が0円になり、登記の登録免許税は42万円が8万4000円となります。

 

不動産を生前贈与する場合、様々な税金が発生します。現金の贈与ですと、貰った現金から贈与税を支払えば、納税資金に困ることはないですが、不動産贈与の場合、納税資金ついて検討する必要があります。又、納税資金として現金の贈与を受けるとその贈与に対しても贈与税が課税されますので注意してください。

※司法書士は税務の専門家ではありませんので、税務に関してはあくまでも登記などの専門業務に付随する業務の一環として、一般的抽象的なアドバイスしかできません。税金関係は非常に複雑ですので必ず税務署又は税理士の助言を受けてください。

 

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