遺留分放棄の申立

相続開始前に遺留分を放棄するには家庭裁判所の許可が必要となります。

 

相続開始後は、自由に遺留分を放棄することができます。積極的な放棄の意思表示をしなくても、遺留分減殺請求権を行使しなけれは、事実上遺留分を放棄したものと評価されます。

 

遺留分の放棄は包括的な全部の放棄だけでなく、割合的な一部放棄や、特定の処分行為についてのみ放棄することも可能とされています。

 

遺留分放棄の申立

管轄裁判所
被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所

 

申立権者
遺留分を有する相続人
配偶者、子、直系尊属
兄弟姉妹は遺留分を有しません。

 

申立費用
@収入印紙800円 A各家庭裁判所指定の予納郵便切手

 

提出書類
・申立書
・被相続人及び申立人の戸籍謄本等
・被相続人の財産目録

 

審理
遺留分を放棄する理由の合理性、妥当性、代償財産の有無等が審理されます。

 

遺留分の放棄が、被相続人の発意、働きかけによるものであり、相続人の真意によるものと認められないときは、許可されません。

 

遺留分放棄の代償として、遺留分相当額の財産が贈与されたかなども、許可されるかどうかの重要な判断要素になります。

 

被相続人である父から5年後に300万円の贈与を受けることを条件として、子である相続人がその遺留分放棄の申立てをおこなった事案で、家庭裁判所は、その履行が確保されていないことを理由に申立を却下しました。(神戸家裁昭和40・10・26審判)

 

不服申立
遺留分放棄の許可審判を申立てた者は、申立却下の審判に対して即時抗告することができます。
許可の審判に対しては、不服申立てをすることはできません。

 

効果
許可審判によって、遺留分放棄の効力が生じます。
・遺留分放棄が許可されると、許可された限度において、当該相続人は、遺留分減殺請求権を行使することができなくなります。

 

・遺留分の放棄は、他の相続人の遺留分に何ら影響を及ぼしません。ある相続人が遺留分を放棄しても他の相続人の遺留分が増加するわけではなく、被相続人が処分することができる財産(可譲財産)が増加します。

 

・被代襲者が遺留分を放棄していた場合、その代襲相続人は遺留分を有しないことになります。

 

・遺留分を放棄しても、相続人の地位を失うわけではないので、相続財産に相続債務が存在すると、法定相続分に応じた債務を承継することになります。

 

許可審判の取消・変更
遺留分放棄の許可審判後であっても、当該審判が不相当であるとき、審判後に事情変更があったときは、当該審判を取消したり、変更したりすることができます。

 

 

お問合せ

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外にお住まいの方もご相談・ご依頼承りますので、お気軽にお問合せください。
司法書士は家庭裁判所に提出する申立書等の書類を作成することができます。
遺留分放棄許可申立をお考えの方は、名古屋の司法書士八木事務所にご相談ください。

 

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