子の氏の変更手続 | 名古屋の司法書士八木隆事務所

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子の氏の変更手続

 

子の氏の変更

CASE1
・夫  鈴木太郎(戸籍筆頭者)
・妻  鈴木花子(旧姓 佐藤)
・長男 鈴木一郎

 

鈴木夫妻はこのたび協議により離婚することになった。

 

@離婚により復氏(旧姓に復する)場合
離婚すると花子の氏は旧姓である佐藤に戻ることになります(復氏)。花子は婚姻前の戸籍に復籍することになりますが、両親の死亡などにより復籍すべき戸籍が除籍されているか、または離婚の際に、新戸籍編成の申出があると、佐藤花子を筆頭者とする新たな戸籍が編成されることになります。

 

長男一郎の氏ですが、両親が離婚したとしても子の氏は変動しませんので、父の氏である鈴木のままです。

 

離婚後、子を夫の戸籍から自己の戸籍に入れたいときは、子の一郎の氏を夫の氏である鈴木から母の氏である佐藤に変更することの家庭裁判所の許可を得てから、市区町村役場で入籍の届出をしなければなりません。

子が父又は母とその氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。(民法791条)

 

戸籍の編成単位

夫婦および夫婦と氏を同じくする子
親子でも氏が異なれば同一の戸籍に入ることはできません。

離婚後、子の氏を変更して自己の戸籍に入籍させる予定の場合は、婚姻前の戸籍に復籍せずに、自己を筆頭者とする新戸籍の編成を申し出ることが一般的です。

 

A離婚後、妻が離婚の際に称していた氏を称する場合(婚氏続称)
婚姻により氏を改めた者は、離婚により旧姓に戻る(復氏)ことになります。

 

ただし、離婚の日から3ヶ月以内に市区町村役場に届け出ることにより、離婚の際に称していた氏を称することができます。

 

離婚により旧姓に戻った佐藤花子は婚氏続称の届出をすることによって鈴木を称することができます。
離婚届と同時に婚氏続称の届出をすることにより、鈴木花子を筆頭者とする新たな戸籍が編成されます。

 

このケースでは、母の氏と子の氏が鈴木で同一なので、家庭裁判所の子の氏の変更許可を得なくても、母の戸籍に子の一郎を入籍させることができると思われるかもしれませんが、父の氏である鈴木と母が婚氏続称により称することになった氏である鈴木は、別の氏とされるので、子を自己の戸籍に入籍させるためには子の氏を父の氏である鈴木から母の氏である鈴木に変更することの家庭裁判所の許可を得る必要があります。

前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3ヶ月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
(民法767条2項)

 

CASE2
・田中二郎
・加藤桃子
・加藤健(田中二郎と加藤桃子の非嫡出子)

 

田中二郎は加藤健を認知して自分の戸籍に入籍させたいと考えている。

婚姻届を提出していない男女の間に生まれた子のことを嫡出でない子(非嫡出子)といいます。

 

非嫡出子である健は、母の氏である加藤を称します。

 

母である加藤桃子を筆頭者とする戸籍があればその戸籍に、母が両親の戸籍に入籍している場合等、戸籍の筆頭者でないときは、新たに編成された母である加藤桃子を筆頭者とする戸籍に、非嫡出子である健は入籍することになります。

 

田中二郎が健を自己の戸籍に入籍させたい場合は、まずは認知の届出をして法律上の親子にならなければなりません。

 

認知してもその子の氏は変動しませんので、この氏を母の氏である加藤から父の氏である田中に変更することの家庭裁判所の許可を得て、市区町村役場に入籍届をする必要があります。

審判例
認知された非嫡出子の氏を父の氏に変更することの許否を判断するにあたっては、当該子の福祉、利益を考慮すべきことはいうまでもないが、他方、氏ないし戸籍に関する一般の意識、国民感情に照らし、許可がされることにより戸籍を同じくするに至る父の妻、嫡出子らの利益、意見等も斟酌すべきである。(東京高裁昭和59・3・30決定)

 

 

 

子の氏の変更許可申立手続

(1)管轄裁判所
子の住所地を管轄する家庭裁判所

 

(2)申立権者
子(子が15歳未満であるときはその法定代理人)

※15歳未満の子の氏を、母の氏に変更する場合でも、親権者が父であるときは、父が法定代理人として申し立てる必要があります。

 

(3)申立費用
@子1人につき収入印紙印紙800円
A各家庭裁判所所定の予納郵便切手

 

(4)提出書類
申立書
添付資料
 子の戸籍謄本(全部事項証明書)
 母(又は父)の戸籍謄本(全部事項証明書)

 

(5)審理
子の氏の変更が、子の福祉や利益にかなうかどうか審理されます。親子の氏が異なった理由、申立に至った動機、子の氏を変更する必要性、関係者の意向などが聴取されます。

 

(6)審判
おおむね5日前後で、許可または不許可の決定がなされます。

名古屋家庭裁判所では、申立人が家庭裁判所に来庁し、かつ必要書類に不備がない場合は、申立日に審理、審判を行う即日審判という運用がなされています。

 

不許可の決定に対しては2週間以内に不服申し立てをすることができます。

 

(7)許可後の手続き
子の本籍地又は住所地の市区町村役場に、許可審判書を添えて、入籍届をおこないます。

 

 

お問合せ

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外にお住まいの方もご相談・ご依頼承りますので、お気軽にお問合せください。司法書士は家庭裁判所に提出する申立書等の書類を作成することができます。 子の氏の変更許可申立をお考えの方は、名古屋の司法書士八木事務所に、ご相談ください。

 

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