不在者財産管理人の選任申立の方法 | 名古屋の司法書士八木隆事務所

不在者財産管理人の選任申立の方法 | 名古屋の司法書士八木隆事務所

不在者の財産管理制度

不在者の財産管理制度

不在者が残した財産を放置することは、不在者及び法律上の利害関係を有する第三者に不利益を及ぼす恐れが大きいので、これらの者の利益を保護するために不在者が残した財産を管理する法的制度が設けられています。

 

法律上の利害関係人は、不在者が残した財産の管理者(不在者財産管理人)の選任を、家庭裁判所に申立てることができます。
家庭裁判所によって選任された不在者財産管理人は、不在者に代わって、不在者の財産を管理することになります。

不在者財産管理制度

不在者とは
従来の住所又は居所を去って容易に帰来する見込みのない者をいいます。必ずしも生死不明である必要はありません。

 

不在者の財産管理人

@不在者に法定代理人(親権者または後見人)がいる場合
⇒法定代理人が不在者の財産管理を行います。

 

A不在者に任意代理人(契約によりおいている管理人)がいる場合
⇒その管理人が不在者の財産管理を行います。

 

B不在者の財産を管理をする者がいない場合
⇒利害関係人又は検察官の請求により、家庭裁判所が不在者のための財産管理人を選任します。

 

不在者財産管理人選任の要件
@不在者自身がその財産を管理することができないとき

 

A利害関係人又は検察官からの申立があること

 

B不在者に管理する財産が存在すること

 

共同相続人中に不在者がいるため、遺産分割協議ができない場合、その不在者は相続の開始によって少なくとも相続分を有するので、管理すべき財産が存在するといえます。

 

積極財産だけでなく消極財産(負債)がある場合も、管理する財産が存在することにあたります。

 

不在者財産管理人の権限

@保存行為 
財産の現状を維持したり、その価値の減少を防止するための行為

 

A利用行為
目的たる物又は権利の性質を変えない範囲内で収益を図る行為

 

B改良行為
目的たる物又は権利の性質を変えない範囲内で財産の交換価値を増加させる行為

 

権限外行為の許可

家庭裁判所により選任された不在者財産管理人が、保存、目的たる物又は権利の性質を変えない範囲内での利用・改良行為を超える行為を行う場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。

家庭裁判所の許可が必要な権限外行為の具体例
・不動産の売却
・遺産分割協議
・相続放棄等

 

不在者財産管理制度の利用

次のような場合、不在者財産管理制度を利用することができます。

・共同相続人の中に不在者がいるので、管理人を選任して遺産分割協議を成立させたい

 

・空き家が老朽化していて危険なので取り壊したい

 

・不在者から債権回収をしたい

 

・不在者所有の土地との間の境界確認をしたい

 

不在者財産管理人選任申立手続

(1)管轄裁判所
不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所

 

(2)申立権者
利害関係人または検察官

 

利害関係人とは
不在者の財産管理について法律上の利害関係を有する者とされています。
・不在者の債権者、担保権者
・不在者の財産を時効取得した者
・不在者とともに共同相続人になっている者
・境界確認を求める隣地所有者など

 

(3)申立費用
@不在者1人につき、収入印紙800円
A各家庭裁判所所定の郵便切手

 

管理費用は不在者の財産から支弁されます。
・財産目録作成費、財産状況の報告・計算に要した費用
・不在者財産管理人の報酬

 

不在者の財産から管理費用を支払うことが見込めない場合は、予納金の納付の命じられます。

 

予納金の額は管理内容により異なります。
一応の目安 20万円〜50万円
事案の複雑さによっては、上記以上の金額の予納が命じられることもあります。

 

(4)申立書類
申立書
添付資料
 ・不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)、戸籍の附票
 ・不在者財産管理人候補者の住民票の写し又は戸籍の附票
 ・不在の事実を証する資料
  (不在者の捜索願受理証明書、返戻された不在者宛の手紙等)
 ・不在者の財産目録
 ・不在者の財産に関する資料
  (不動産登記事項証明書・預金通帳の写し・残高証明書等)
 ・申立人の利害関係を証する資料
  (戸籍事項証明書・金銭消費貸借契約書・賃貸借契約書)

 

(5)審理
申立人と不在者の関係、不在者の財産の内容、管理状況、管理の必要性、管理人候補者の適格性などが審理されます。

 

管理人候補者の資格
法律上の資格制限は特にありませんが,財産管理人は,不在者の財産を管理するために,職務を適切に行える能力が必要です。候補者が不適任であると判断されると、申立人が挙げた候補者以外の者が選任されることもあります。

 

(6)審判
1〜2ヶ月ぼどで、選任又は却下の審判がなされます。
不在者財産管理人の選任又は却下の審判に対しては不服申し立てをすることができません。

 

ご相談・ご依頼のお問い合わせ

ご相談、お見積り、お仕事のご依頼は、お電話又はお問い合わせフォームからお願いします。

 

    お電話によるお問い合わせ

052-848-8033

お電話受付時間 平日10時〜20時

 

メールフォームからのお問い合わせ

 

467-0056
名古屋市瑞穂区白砂町2丁目9番地 瑞穂ハイツ403号
司法書士八木隆事務所

トップへ戻る