仮差押の登記|不動産登記簿を読む|名古屋の司法書士

仮差押の登記がなされている不動産登記簿を読む

仮差押の登記がなされている不動産登記簿を読む

甲区

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
所有権移転

平成29年1月10日
第○○号

原因 平成20年2月3日売買
所有者 名古屋市南区△町1丁目20番地
 甲 野 太 郎

仮差押

原因 平成30年5月20日○○地方裁判所仮差押命令
債権者 名古屋市北区□□4丁目15番地
 乙 山 次 郎

 

登記簿を読み解く

債権者である乙山次郎は、将来の強制執行に備えて、債務者である甲野太郎の所有する本件不動産に対して裁判所に仮差押えの申立てを行ったことにより、裁判所書記官の嘱託により仮差押の登記がなされています(甲区3番の登記)。

 

財産を仮に差し押さえる理由
債務者である甲野太郎が返済期限が過ぎても返済してくれない場合は、最終手段としては、債務者が所有する財産につき強制執行の申立てをすることにより債権回収を図りますが、強制執行を申立てるためには、裁判手続を経た上で債務名義(権利の存在及び内容を示す文書、判決など)を取得する必要があります。

 

なお、金銭消費貸借契約書等を公正証書で作成している場合(強制執行認諾条項が付されている者に限る)には、民事訴訟を経ることなく公正証書を債務名義として強制執行することが可能です。

 

しかしながら、訴えを提起し確定判決を得るまでには相当の時間を要しますので、その間に債務者が強制執行を逃れるためにその所有する財産を処分してしまうかもしれず、いざ強制執行ができるようになったときには差し押さえるべき財産がなくなっていることが考えられます。

 

このような事態に備えて、仮差押えをしておけば、勝訴判決を得て強制執行を行うことが可能になれば、仮差押え後に権利を取得した者に対しても強制執行を行うことができます。

 

仮差押えの登記がされている不動産を取得する場合の注意点
仮差押えの登記がされている不動産でも取得することは可能であり、所有権移転登記も行うことができます。

 

ただし、仮差押えが本差押えに移行し、強制執行が行われると仮差押えの登記後に所有権を取得した者は仮差押債権者に対抗することができず、不動産の所有権は強制執行による買受人が取得し、仮差押登記後の所有権取得者はその所有権を失うことになります。

 

このように、仮差押登記がなされた不動産を取得すると、その後所有権を失うリスクがあるので、当該不動産を取得するには、仮差押債権者に仮差押命令の申立てを取下げてもらう必要があります。

 

もちろん、ただで取下げてくれるはずはないので、当該不動産の売却代金で仮差押債権の全額を返済することが可能であれば、売却代金で全額返済し、仮差押債権者に仮差押命令の申し立てを取下げてもらうことになります。

 

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