農地法の許可を条件とする仮登記がなされている不動産登記簿を読む
甲区
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
1 | 所有権移転 |
昭和58年8月8日 |
原因 昭和58年5月10日売買 |
2 | 条件付所有権移転仮登記 |
平成22年9月1日 |
原因 平成22年6月3日売買 |
所有権移転 |
平成22年10月21日 |
原因 平成22年10月10日売買 |
登記簿を読み解く
甲野太郎が所有する農地を、平成22年6月3日に農地法の許可を得ることを条件に乙野次郎が購入したものの、農地の所有権移転の効果は農地法の許可を受けることにより生じますので、農地法の許可を得ていない段階では所有権はいまだ売主甲野太郎にあり、買主乙山次郎名義に所有権移転登記(本登記)をすることができません。
ただし、農地法の許可を得ることを条件として農地の売買契約を締結したときは、仮登記をすることができますので、将来農地法の許可を得たときに備えて、本登記の順位を保全するために仮登記をおこなったものです。
その後、乙野次郎は農地法の許可を得ることができたので、甲区2番の仮登記の本登記をおこなっています。
農地法3条許可とは
農地法の許可には3条許可と5条許可があります。
3条許可とは、耕作目的で農地を取得する場合に必要な許可です。
3条許可は原則農家でなければ得ることはできません。
5条許可は転用目的で農地を取得する場合に必要となる許可です。
農地を宅地にして住宅を建築するには、5条許可が必要になります。
なお、市街化区域内の農地を転用目的で取得する場合は、事前に農業委員会にその旨を届け出ることにより農地を転用目的で取得することができます。
本件では条件付所有権移転仮登記の条件として「農地法第3条の許可」と記載されているので、乙山次郎は本件農地を耕作目的で購入したことがわかります。
農地法の許可は、農地の所有権を取得するための絶対条件であり、農地法の許可は買主に到達した日に生じますので、平成22年10月10日以前に許可があったことがわかります。
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