遺言内容に抵触する生前贈与があった場合、遺言書はどうなる?
遺言書には、甲土地を私に相続させると書かれていました。
そこで甲土地の登記簿を確認したところ父の死亡前に私の弟に生前贈与されており、登記名義も弟の名義になっていたことが判明しました。
この場合、私は甲土地を相続することはできないのでしょうか?
遺言書は撤回されたものとみなされ、あなたは甲土地を相続することができません。
遺言者は一旦作成した遺言書をいつでも撤回することができます。
たとえば、作成した遺言書を破り捨てれば、全面的に遺言を撤回したことになりますし、遺言書作成後に新たに遺言書を作成した場合、新たに作成した遺言書と前に作成した遺言書の内容が抵触すれば、抵触する部分につき前の遺言書を撤回したことになります。
このように、作成した遺言書を破棄したり、前に作成した遺言書に抵触する遺言書を新たに作成した場合だけでなく、遺言書の内容に抵触する生前処分を行った場合も、抵触する部分につき遺言書を撤回したものとみなされます。
あなたの場合ですと、遺言によりあなたに甲土地を相続させることと、弟さんに甲土地を贈与により取得させることは両立することができず、弟さんへの生前贈与は、遺言書に抵触する生前処分に該当します。
よって、遺言書作成後に、あなたのお父さんが弟さんに甲土地を生前贈与したことにより、あなたに甲土地を相続させるとした遺言書を撤回したことになります。
その結果、あなたは遺言により甲土地を相続することはできないことになります。
ただし、弟さんへの生前贈与が、弟さんが登記書類を偽造等して勝手に行った場合など贈与が無効であれば、生前処分はなかったことになりますので、遺言書の撤回はなかったものとされます。
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