認可地縁団体による不動産登記
自治会など、市町村長の認可を受けた地縁団体(以下「認可地縁団体」という)は、認可前に取得した不動産でその代表者または構成員全員(以下「代表者等」という)の名義で登記した不動産の名義を認可地縁団体名義に変更することができます。
自治会などは、一般社団法人化していなければ、その団体は『権利能力なき団体』とされ、権利義務の帰属主体になることができません。(団体名義で不動産を取得し、その団体名義で登記することもできません。)
権利能力なき団体である自治会が不動産を有するときは、その代表者名義又は、構成員全員の共有名義で登記されています。
この権利能力なき団体である自治会が、市町村長の認可をうけることにより、その目的の範囲内で法人格が認められ不動産を自治会名義で所有することができ、自治会名義で不動産登記をすることができるようになります。
認可地縁団体の要件
・団体が町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体であること
・その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること
・その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること。
・その区域に住所を有するすべての個人は、構成員になることができるものとして、その相当数の者が現に構成員になっていること
・規約を定めていること
代表者名義から認可地縁団体名義への登記の変更
代表者等名義になっている登記名義を、認可地縁団体名義に変更するためには、認可地縁団体と代表者等が共同して、不動産の所在地を管轄する法務局に登記を申請します。
代表者名義から認可地縁団体名義に登記名義を変更するのは、権利主体の変更ではなく、その実質は登記名義人の表示の変更に当たりますが、登記名義の変更手続は、所有権移転登記の形式により行います。(登記原因は委任の終了、原因日付は市町村長に認可のあった日)
登記必要書類
・登記原因証明情報
・代表者等の登記識別情報又は登記済権利証
・代表者等の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)
・市町村長が作成発行する認可地縁団体の証明書
・固定資産税評価証明書
代表者等の現在の住所と登記記録上の住所が異なるときは、所有権移転登記の前提として登記名義人の表示変更登記が必要になり、代表者等の住民票の写し等も必要になります。
登録免許税
固定資産税評価額の1000分の20
代表者等が死亡している場合の登記手続
代表者等がすでに死亡している場合は、その相続人全員が登記義務者となり、登記申請を行います。
この場合は、代表者等の相続人を明らかにするために代表者等の戸籍謄本等が必要になります。
代表者等名義で登記された不動産の所有権は実質地縁団体に属しますので、当該不動産は代表者等の相続財産を構成しませんので、代表者等に相続が開始したとしても相続登記を行う必要はありません。
認可地縁団体が所有する不動産登記の特例手続
認可を受けていない地縁団体が所有する不動産につき構成員全員名義で登記している場合、その数は多数にのぼることがあります。
このような場合でも、認可地縁団体名義に登記名義を変更するには、現在の登記名義人(及びその相続人)全員が登記申請手続に関与しなければならないことになっています。
しかしながら、登記名義人が多数に上ると、その所在が不明な者がいたり、すでに死亡していてその相続人と連絡を取ることができないなど、登記名義人全員から登記申請手続に関与してもらうことが困難で、事実上認可地縁団体に名義変更することができない状況が続いていました。
このような状況に鑑みて、一定の要件を満たした認可地縁団体が所有する不動産について、市町村長が一定の手続を経たうえで証明書を発行し、当該証明書を添付することにより認可地縁団体が単独で所有権保存又は所有権移転登記を申請することができる特例手続が自治法を一部改正する法律により認められました。
証明書交付の流れは次の通りです。
・不動産を所有すること
・不動産を10年以上所有の意思を持って平穏且つ公然と占有すること
・不動産の表題部所有者又は所有権の登記名義人のすべてが、認可地縁団体の構成員又はかつて構成員であった者であること
・不動産の表題部所有者もしくは所有権の登記名義人及びその相続人(登記関係者)の全部又は一部の所在が知れないこと
認可地縁団体の疎明が相当であると認めるときは、市町村長は、登記関係者のために異議申述のための公告を行います。
公告期間内(3ヶ月を下回らない期間)に異議がないときは、市町村長は認可地縁団体に証明書を発行します。
公告期間内に異議があった場合は、異議申述を行うことができる資格があるかどうか確認し、資格があると認められた場合は、手続が終了となり、資格があると認められない場合は、認可地縁団体に証明書が交付されます。
異議の申述をすることができる資格者
・不動産の表題部所有者もしくは所有権の登記名義人及びその相続人
・不動産の所有権を有することを疎明した者
認可地縁団体名義への登記のご相談・お問い合わせ
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認可地縁団体名義への登記手続サービスのご案内
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@司法書士にお支払していただく報酬 35,000円(税別)
Aサービス内容
・登記申請書の作成及び法務局への申請代理
・登記原因証明情報の作成
・登記完了後の不動産登記事項証明書の取得代行
B登記費用(実費)
・登録免許税=固定資産税評価額の2%
※不動産の固定資産税評価額が1500万円の場合の登録免許税は30万円
・登記情報提供サービス利用料(不動産1個につき335円)
※不動産の権利関係を事前調査するために利用します。
・印鑑証明書、固定資産税評価証明書請求手数料
・郵送代(切手、レターパック等)
・登記事項証明書(登記簿謄本)請求手数料(不動産1個につき500円)
※登記完了後の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得してお渡しします。
登記名義人(代表者等)の登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は、登記名義人住所変更登記の申請が必要になります。この場合司法書士報酬を6,000円(税別)加算させていただきます。また、登記名義人住所変更登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。