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解散登記・清算結了登記がなされた会社の抵当権抹消登記

解散登記・清算結了登記がなされた会社の抵当権抹消登記

現在、実体があるかどうかわからない古い会社の抵当権(又は根抵当権)が自身が相続等で取得した不動産に設定されている場合、この抵当権等の登記はどのようにして登記簿(登記記録)から抹消することができるのでしょうか。

 

ここでは、かなり昔に設定された会社を抵当権者とする抵当権の登記を抹消する方法について解説します。

会社の登記簿を調査する

まずは、会社の登記簿を法務局で調査します。
法務局で抵当権者である会社の登記事項証明書を請求します。

 

請求は登記事項証明書等交付申請書に、不動産登記簿に記載されている抵当権者の商号(会社名)・本店を記載し、所定の手数料額に相当する収入印紙を貼付して、法務局の窓口に提出します。

 

オンライン化された登記事項証明書であれば、どこの法務局でも取得することができますが、紙で作成された登記簿謄本を取得する必要がある場合は、本店所在地の法務局(管轄法務局)で請求する必要があります。

 

請求の結果、登記事項証明書(閉鎖事項証明書も含む)が取得できた場合と、できなかった場合で抹消登記の手続の方針が変わってきます。

 

閉鎖事項証明書が取得できなかった場合の抵当権抹消登記手続

まずは、会社の閉鎖事項証明書が取得できない場合を説明します。

 

清算結了の登記をした会社の登記記録は閉鎖されることになります。

 

清算結了した会社の登記記録は閉鎖登記簿に記録されます。
ただし、閉鎖登記簿は、登記記録を閉鎖した日から20年間しか保存されず、保存期間経過後は登記記録は廃棄されることになります。

 

また、解散登記をした後、10年が経過した場合、登記官が登記記録を閉鎖することができるとされており、この場合も閉鎖から20年経過すれば、登記記録が廃棄されます。

 

ただし、20年の保存期間が経過した場合でも、法務局によっては登記記録を廃棄せずに保存している場合があるので、法務局で確認する必要があります。

 

登記記録が既に廃棄済の場合、提出した登記事項証明書等交付申請書には、「当該会社はありません」、「不見当」等のゴム印が押され返却されます。

 

上記のように、登記記録が廃棄済で閉鎖事項証明書が取得できない場合は、弁済供託による休眠担保権の抹消手続による抵当権抹消登記を検討します。

 

弁済供託による休眠担保権の抹消手続

弁済供託による休眠担保権の抹消手続とは、登記義務者(抵当権者)の所在が知れないため登記義務者と共同して抵当権抹消登記の申請ができない場合において、抵当権の被担保債権の弁済期から20年が経過し、かつその期間経過後に、当該被担保債権(元本)、利息及び損害金全額に相当する金銭を供託した場合に、登記権利者(不動産の所有者)が単独での当該抵当権抹消登記の申請を認める制度です。

 

弁済供託による休眠担保権の要件として、登記義務者(抵当権者)の所在が不明で、その者と共同して抵当権の抹消登記の申請ができない場合がその一つになっているのですが、この所在が不明な登記義務者には、個人だけでなく、会社等の法人も対象になります。

 

通達によれば、法人の所在不明とは、「当該法人について登記簿に記録がなく、かつ、閉鎖登記簿が廃棄済であるため、その存在を確認することができない場合等」とされています。

 

法務局で登記(閉鎖)事項証明書を請求したが、廃棄済のため、登記(閉鎖)事項証明書が取得不能であれば、登記義務者の所在が不明の要件に該当し、その他の要件を満たせば、不動産の所有者が単独で抵当権の抹消登記を申請することができます。

 

登記(閉鎖)事項証明書が取得できた場合の抵当権抹消登記手続

この場合は、上記弁済供託による休眠担保権の抹消手続を利用することができません。

 

原則とおり、抵当権者である会社と設定者(不動産所有者)との共同して、抵当権抹消登記を申請することになります。

 

会社が清算結了しており、抵当権は既に消滅して場合

これは、弁済等により既に抵当権そのものは消滅しているが、抵当権抹消登記の申請をすることなく、清算結了してしまった場合です。

 

会社はすべでの義務を履行した後でなければ清算結了することはできません。
登記申請義務といえども会社の義務であることには違いありませんので、厳密に言えば、清算結了していないことになります。

 

本来なら、清算結了の登記を抹消した上で、清算会社に戻して、清算会社と共同して抵当権抹消登記を申請することになるところ、登記義務を履行するためだけに清算結了の登記をした会社を復活させるのは、当該会社にとって負担が大きいことから、登記実務では、清算結了の登記を抹消することなく清算結了当時の清算人(元清算人)と共同して抵当権抹消登記を申請すること便宜的に認めています。

 

会社が清算結了しているが、抵当権は消滅していない場合

この場合は、会社は被担保債権を有しており、会社に財産が残っている状態ですので、清算結了することはでず、登記義務のみが残っている場合の便宜的方法による抵当権抹消は認められません。

 

原則通り、清算結了の登記を抹消し、債務者から債権を回収した後に、(弁済等により被担保債権が消滅することにより、抵当権もその附従性により消滅することになります。)抵当権抹消登記の申請をすることになります。

 

抹消登記は、抵当権が設定されている不動産の所有者を登記権利者、抵当権者である会社を登記義務者として共同して申請します。
清算会社の代表者は清算人ですので、清算人が会社を代表して登記申請を行います。

 

清算結了登記当時の清算人が死亡している場合は、新たに清算人を選任する必要があります。
清算会社が株式会社でしたら、株主総会の決議により清算人を選任します。
株主(その相続人)の所在が不明で、株主総会を開催することができない場合は、裁判所に清算人の選任を申し立てることを検討します。

 

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