被保佐人が遺産分割協議を行う場合、保佐人の同意が必要

相続人に被保佐人がいる場合の遺産分割|名古屋の司法書士八木隆事務所

相続人に被保佐人がいる場合の遺産分割

被保佐人とは、認知症等により物事を判断する能力が著しく不十分なため、申立てにより家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者のことをいいます。

 

被保佐人には家庭裁判所が選任した保佐人がつけられ、保佐人により、被保佐人の財産管理の支援が行われます。

 

被保佐人が民法で定められた重要な行為を行う場合、保佐人の同意が必要になります。

 

被保佐人が民法で定められた重要な行為を、保佐人の同意を得ることなく行った場合、その行為は取り消すことができます。

 

遺産分割は、保佐人の同意を要する重要な行為とされており、被保佐人が遺産分割を行うためには保佐人の同意が必要になります。(民法第13条6号)

 

また、家庭裁判所の代理権付与の審判により、保佐人に遺産分割に関する代理権が付与されている場合には、保佐人は被保佐人のために、遺産分割を代理して行うことができます。

 

保佐人も相続人である場合(利益相反行為)

例えば、相続人が配偶者と子であり、配偶者が被保佐人で、その保佐人が子である場合、被保佐人と保佐人の利益が相反することから、保佐人は被保佐人の遺産分割に対して同意を与えることができません。(遺産分割の代理権が付与されているときは、代理権を行使することができません。)

 

被保佐人と保佐人の利益が相反する遺産分割において、保佐人が被保佐人のために同意権や代理権を行使することを認めると、保佐人が被保佐人の利益を犠牲にして専ら自分の利益を優先する虞があることから、同意権や代理権の行使が制限されています。

 

保佐人と被保佐人がともに相続人である遺産分割については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないとされています。

 

家庭裁判所で選任された臨時保佐人が保佐人に代わり、被保佐人が行った遺産分割に対して同意を与えることになります。

 

ただし、保佐監督人が選任されている場合は、臨時保佐人の選任を申立てる必要はなく、保佐監督人が保佐人に代わり、被保佐人が行った遺産分割に対して同意を与えることになります。

 

相続人に被保佐人がいる場合の遺産分割協議書を作成するうえでの注意点

保佐人が遺産分割の同意をする場合
・遺産分割協議書
遺産分割協議書には被保佐人が、署名押印(又は記名押印)します。
相続登記や預貯金の払い戻しに必要な遺産分割協議書には、実印が求められますので、押印は実印で行います。

 

・同意書
また、保佐人が被保佐人が行った遺産分割について同意したことを証するために、同意書を作成し保佐人が実印で押印します。(遺産分割協議書に被保佐人の遺産分割につき同意した旨を記載し保佐人が押印するのでもかまいません。)

 

・後見登記事項証明書
保佐人が保佐人であることを証明するため、後見登記事項証明書を添付します。

 

保佐人が遺産分割を代理して行う場合
・遺産分割協議書
遺産分割協議書には、保佐人が署名押印(又は記名押印)します。
協議書には次のように記載します。
「被保佐人○○代理人保佐人△△ 印」

 

・後見登記事項証明書
家庭裁判所の代理権付与の審判により、保佐人に遺産分割に関する代理権が付与されていることを証明するために登記事項証明書を添付します。

 

臨時保佐人が遺産分割を同意する場合
・遺産分割協議書
遺産分割協議書には被保佐人が、署名押印(又は記名押印)します。
相続登記や預貯金の払い戻しに必要な遺産分割協議書には、実印が求められますので、押印は実印で行います。

 

・同意書
臨時保佐人が被保佐人が行った遺産分割について同意したことを証するために、同意書を作成し臨時保佐人が実印で押印します。

 

・選任審判書謄本等
臨時保佐人の選任に関しては、登記事項とはされていませんので、選任審判書謄本等により臨時保佐人であることを証明することになります。

 

お問い合わせ

司法書士八木隆事務所は愛知県名古屋市で登記・相続業務を中心に行っている司法書士事務所です。

 

被保佐人と保佐人がともに相続人で、臨時保佐人の選任が必要なときは、ご相談ください。
司法書士は、家庭裁判所への申立書を作成することができます。

 

申立書作成に関するご相談、ご依頼は、下記の電話番号(052-848-8033)におかけいただくか、メールフォームによりお問い合わせください。

 

申立書作成報酬のお見積りを無料でおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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