銀行預金・ゆうちょ銀行の相続手続|名古屋の司法書士八木隆事務所

銀行預金・ゆうちょ銀行の相続手続|名古屋の司法書士八木隆事務所

銀行預金・ゆうちょ銀行の相続手続

被相続人(お亡くなりになった方)名義の預金・貯金(ゆうちょ銀行)債権は相続財産になります。

 

銀行、ゆうちょ、信用金庫などの金融機関は、預金・貯金債権の名義人が死亡した事実を知ると、その預金・貯金口座に関する取引を停止します。

 

これを預金(貯金)口座の凍結などと呼んでいます。

 

相続人が被相続人名義の預金・貯金口座の凍結を解除し、払い戻しを受けるためには、各金融機関所定の相続手続依頼書を提出する必要があります。

 

次に、預貯金者に相続が開始し口座が凍結されてしまうとどうなるのかを簡単に説明した後、各金融機関に共通する一般的な預貯金債権の相続手続について説明します。

 

預金口座が凍結されてしまうと!

金融機関は預貯金者の死亡の事実を確認すると、その口座の入出金を停止します(口座の凍結)。

 

口座が凍結されると、現金を引き出すことができなくなりますし、公共料金等の口座振替(自動引落し・自動振込み)による出金ができなくなります。

 

ただし、銀行実務では、預貯金者の死亡の事実を確認した場合でもただちに口座振替による取引を停止するのではなく、一定期間は口座振替による取引を継続し、その間に相続人全員による継続取引の意思が確認できないときに、その口座振替による取引を停止するとされています。

 

口座が凍結されると正式な相続手続(遺言又は遺産分割による手続)を行うまでは、その払い戻しを受けることができないのが原則です。

 

ただし、社会通念上相当と認められる葬儀費用、被相続人と同居していた相続人の生活費など緊急性が高いと認められる費用について、一部の相続人からの払い戻し請求に応じている金融機関が多いと言われています。

 

その取り扱いについては各金融機関で異なりますので、葬儀費用等を支払うため被相続人の預貯金口座から払い戻しを受けたい方は、各金融機関に問い合わせてみてください。

 

 

預貯金債権は遺産分割の対象となるのか?

平成28年12月19日最高裁判所により、これまでの預貯金の相続実務に重大な影響を及ぼす決定がなされました。

 

平成28年の最高裁決定の内容を説明する前に、これまでの相続における預貯金債権の取り扱いについて説明します。

これまでの相続における預貯金債権の取り扱い

預貯金債権が遺産分割の対象になるかどうかについて、平成28年最高裁決定以前は、「相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭の他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解すべきである。」として可分債権である預貯金債権は相続開始時に各相続人が法定相続分に応じて分割された預貯金債権を取得するとされてきました。(最判昭29・4・8)

 

この考え方を当然分割説と呼んだりします。

 

ただし、家庭裁判所の実務(遺産分割調停・審判)においては、相続人全員の同意があれば、預貯金債権を遺産分割の対象財産とすることを認めてきました。

 

わかりやすく具体例で説明します。

 

相続人は子A、B及びCの3名で、遺産として1,500万円の銀行預金があった場合、これまでの最高裁の考え方によると、各相続人は法定相続分(このケースでは各3分の1)に応じた500万円の銀行預金債権を相続開始時に当然取得することになり、遺産分割を行う必要はないとされてきました。

 

なお、特定の相続人に預金債権の全額を取得させる遺産分割協議を相続人全員で行ったときは、その有効性を認めてきました。

 

当然分割説によれば、本来なら各相続人は相続により分割取得した預貯金債権の払い戻しを金融機関に請求できるはずなのですが、二重払い等のリスクを回避するために、相続人全員の承諾がなければ、一部の相続人からの払い戻し請求に応じないのが銀行実務でした。

 

平成28年12月19日最高裁判所決定の要旨

今回の最高裁の決定で何が変更されたのかを説明します。

 

・共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない

 

・これらは、遺産分割の対象財産となる。

 

今回の最高裁決定により、預貯金債権は原則相続開始時に各相続人に分割承継されるが、相続人全員の同意があれば、遺産分割の対象とすることができるとされていたのを、相続開始時に当然分割されることなく、相続人の同意の有無に関係なく遺産分割の対象となると変更されました。

 

法的には可能であった他の相続人の承諾のない一部相続人からの分割承継した預貯金債権の払い戻し請求が今後は認められないことになります。

 

今回の最高裁決定の事案で、預貯金債権が遺産分割の対象になるのかどうかが争われたのなぜでしょうか。
わかりやすくするために、事案を改変して説明します。
相続人が子であるAとBの2名です。相続財産は銀行預金1,000万円のみです。
Aは特別受益に該当する1,000万円の生前贈与を受けています。

 

Aはこれまでの相続実務に基づいて、1,000万円の銀行預金をそれぞれ500万円づつ取得し、遺産分割の余地をないことを主張しました。

 

Bは、預貯金債権も遺産分割の対象となることを主張しました。
Bは特別受益の持ち戻し(Aに対する1,000万円の生前贈与を相続財産とみなす)の規定を適用して、2,000万円をみなし相続財産として具体的相続分を計算することをを求めました。
これが認められるとAの具体的相続分は零円、Bの具体的相続分は1,000万円になります。

 

Aの具体的相続分 2,000万円×1/2−1,000万円(特別受益)=0円
Bの具体的相続分 2,000万円×1/2=1,000万円

 

Bは預貯金債権を遺産分割の対象とすることにより預貯金債権全額(1,000万円)を取得することができます。

 

最高裁はBの主張を認めました。
このように預貯金債権を遺産分割の対象財産とすることにより、相続人間の実質的な公平を図ることができます。

 

 

 凍結された預金・貯金債権の払い戻しの手続

特定の相続人に相続させる旨の遺言又は遺贈があれば、遺言書により払い戻し請求をすることができますが、遺言がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

 

遺言がある場合

特定の相続人に特定の預貯金債権を相続させる又は遺贈する旨の遺言があれば、遺産分割を行うことなく預貯金債権の払い戻しを受けることができます。

 

自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言とは、遺言者が全文(本文・日付・氏名)を自書し、押印した遺言です。
自筆証書遺言により預貯金の払い戻しを受けるためには、あらかじめ家庭裁判所の検認手続を受ける必要があります。

 

銀行実務では、いわゆる相続させる旨の遺言で遺言執行者がいる場合は、遺言執行者が預貯金の払い戻し請求をすることができます。

 

公正証書遺言の場合

公正証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を公証人及び2人以上の承認の面前で陳述し、公証人が聴取した内容を筆記した遺言を言います。

 

公正証書遺言により預貯金の払い戻しを受ける場合には、家庭裁判所の検認手続を受ける必要はありません。

 

遺産分割協議による場合(遺言がない場合)

遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどのような割合で預貯金を相続するのかを話し合います。

 

遺産分割協議がまとまらない又は、協議を行うことができない場合は、相続人は家庭裁判所に遺産分割の請求をすることができます。(遺産分割調停・遺産分割審判)

 

次に遺産分割協議の流れを説明します。

遺産分割協議の流れ

【相続人の調査】
被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本等を取り寄せ、相続人を確定させます。

 

【遺産分割協議】
相続人全員で預貯金債権をどの相続人がどのような割合で取得するのかを話し合います。

 

【遺産分割協議書の作成】
遺産分割協議がまとまったときは、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名および実印で押印します。
遺産分割協議書には、相続する預貯金債権を特定することができるように記載します。

 

ゆうちょ銀行以外の銀行の預金債権なら、金融機関名・取扱い支店名・預金の種類・口座番号等により特定します。

 

ゆうちょ銀行の貯金債権なら、貯金の種類・記号・番号等により特定します。

 

【預金の払戻し請求】
金融機関所定の相続手続依頼書を提出します。

 

遺言による手続か、遺産分割による手続かにより、相続手続依頼書に署名・押印する相続人の範囲は各金融機関により異なりますので、確認する必要があります。

 

通常、被相続人の戸除籍謄本等、印鑑証明書、遺産分割協議書等も一緒に提出します。

 

【相続人への分配】
払い戻しを受けた金銭を、遺産分割協議の内容に従って各相続人に分配します。

 

 

銀行預金の相続手続を司法書士に依頼するメリット

相続によって凍結された預金の払戻しを受けるためには、遺産分割協議書などの作成し、戸籍謄本等必要書類を集めたうえで、銀行の窓口で払戻しの手続きをする必要があります。

相続手続きに不慣れで、相続手続きが大変煩わしい!

 

大変忙しくて、相続手続きのための時間が取れない!

このような方は是非、司法書士にご依頼ください。

 

司法書士は銀行預金・ゆうちょ銀行の相続手続きをその業務として行うことができます。

 

戸籍謄本等の収集、遺産分割協議書の作成、銀行窓口での手続きをトータルでサポートします。

 

また、相続財産に自宅等不動産がある場合には、相続登記(不動産の名義変更)の手続きも一緒に行うことができます。

 

相続登記は、司法書士しか業務として行うことができません(弁護士は除く)ので、相続財産が自宅と預貯金のみで相続税がかからないという相続人の方の相続手続きは司法書士に相談するのが最適ではないでしょか。

 

銀行預金・ゆうちょ銀行の相続手続きをお考えの方は是非、名古屋の司法書士八木隆事務所へご相談ください。

 

報酬・費用

サービス内容 司法書士報酬

銀行窓口での払戻し手続き
遺産分割協議書作成

25,000円(/金融機関1行)
※払戻し手続きを行う金融機関が1行増えるごとに20,000円加算

戸籍謄本等の取り寄せ 請求1回につき1,500円

 

その他、戸籍謄本等、印鑑証明書など添付書類の取得実費(手数料)、郵送料等を別途負担していただきます。

 

名古屋の司法書士八木隆事務所

 

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