胎児の相続

相続開始の時(被相続人の死亡時)に胎児であった子は生きて生まれてくることを条件として相続権が認められます。

 

胎児が相続人

 

左図のケースで胎児が生きて生まれてくると、相続人は配偶者と胎児(子)で法定相続分は各2分の1となります。

 

胎児が死産の場合は、胎児に相続権は認められませんので、相続人は配偶者と被相続人の父母で、法定相続分は配偶者が3分の2、父母は各6分の1となります。

 

胎児の遺産分割

行政解釈では、「胎児の出生以前に遺産分割協議その他の処分行為をすることができない」とされています。(S29・6・15民甲1188号)

 

胎児が出生した後に、出生した子を含めた相続人全員で遺産分割協議をおこなうこととなります。
なお、母親も相続人である場合、母親が親権者として子を代理して遺産分割協議をおこなうことは利益相反行為となりますので、遺産分割協議をおこなうには、出生した子のために、相続開始地の家庭裁判所に特別代理人選任の申立て行い、選任された特別代理人が出生した子の代理人として遺産分割協議をおこなうこととなります。

 

 

胎児名義の相続登記

胎児を含む共同相続登記の登記記録例

上述のように、登記実務では、胎児を含めた遺産分割協議はすることができないとされているので、遺産の中に不動産があったとしても遺産分割による胎児名義の相続登記は受理されないこととなります。

 

胎児名義の相続登記が認められるケースとしては、胎児を含めた法定相続分による共同相続登記、または胎児に相続させる旨の遺言による胎児名義の相続登記が考えられます。

 

 

 

遺言書記載例(胎児に相続させる旨の遺言)

第○条 遺言者は、遺言者の有する下記不動産を、遺言者の妻Yが懐胎している胎児に相続させる。
                        (不動産の記載省略)

相続登記に必要な書類(胎児を含む共同相続登記)

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
・相続人の戸籍謄本
・相続人の住民票の写し等
※妻が懐胎していることを証する書面は添付する必要はありません。

 

胎児が生きて生まれてきた場合の登記
胎児名義の相続登記を行った場合、その出生後に登記名義人(胎児)氏名住所変更登記が必要になります。

 

死産だった場合の登記
胎児名義の相続登記をおこなったが死産だった場合は、共同相続登記の更正登記が必要となります。
胎児が死産だったことにより相続人になる者または相続分が増加する者が登記権利者、胎児が登記義務者となります。

 

胎児は通常、数ヵ月後には生まれてくるので、あえて、胎児名義の共同相続登記をする実益はあまりないと思われます。

 

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