遺産分割協議のやり直し | 名古屋の司法書士八木事務所

遺産分割協議のやり直し | 名古屋の司法書士八木事務所

遺産分割のやり直し

遺産分割協議の無効・取消・解除

遺産分割協議は相続人全員が協議に参加して合意することが必要です。
一部の相続人を除外した遺産分割協議は、無効となります。

遺産分割協議成立後に認知の訴えが確定した場合

認知の訴えが提起され、当該裁判が確定する前に遺産分割協議が成立した場合は、認知により相続人となった者を除外してなされた遺産分割協議は有効に成立します。認知により相続人となった者を加えて、再協議する必要はありません。この場合、認知によって相続人となった者は、他の共同相続人から自己の相続分に相当する金額の価額賠償を請求することができます。

 

錯誤無効、詐欺又は強迫による取消し

遺産分割協議は、相続人全員による自己の有する相続分の交換、贈与であり、その実質は財産法上の行為であることから、民法総則の意思表示に関する規定が適用されますので、勘違いによって遺産分割協議に合意したり(錯誤による意思表示)、騙されたり、強迫されたりして遺産分割協議に合意した場合は、その相続人は、遺産分割協議の無効を主張したり、取消しを主張することができます。

 

遺産分割協議成立後に遺言書が発見された場合
「相続人が遺産分割協議の意思決定をする場合においては、遺言で分割の方法が定められている時は、その趣旨は協議及び審判を通じて可能な限り尊重されるべきものであり、相続人もその趣旨を尊重しようとするのが通常であるから、右遺言の存在を知らずに遺産分割協議をした相続人の意思表示には要素の錯誤があるものと認められる」とした判例(最高裁平成5・12・16判決)があります。
要素の錯誤が認められるには、当人だけではなく、このような事情の下では一般の人もそのような意思表示をしかったであろうと、認められる場合でなければなりません。

このように遺産分割協議において錯誤が認められると遺産分割協議が無効となることがあります。

 

債務不履行による解除

ある相続人が相続財産の全部を取得する、もしくは法定相続分以上に相続財産を取得する代わりに他の相続人に対して代償金を支払う、母親と同居し面倒を見ることを条件に相続財産の全部を取得するといったように遺産分割協議の内容として相続人に一定の義務を負担させることがあります。
では、遺産分割協議で義務を負担することになった相続人がその義務を履行しない場合は遺産分割協議の効力はどうなるのでしょうか。

 

最高裁の判決によりますと、「共同相続人間で遺産分割協議が成立した場合に、相続人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しない時でも、右他の相続人は民法541条(契約不履行があった場合の解除権)によってその遺産分割協議を解除することはできない」と判示しています。(最高裁平成1・2・9判決)
よって、遺産分割協議によって義務を負担した相続人がその義務を履行しなかったとしても、一度成立した遺産分割協議を解除して白紙に戻すことはできないことになります。

 

他の相続人は、裁判外又は裁判で義務を負担した相続人に対して負担し義務を履行するように請求することになります。

 

合意解除

遺産分割協議成立後に相続人全員の合意によって遺産分割協議を解除し、相続人全員で再協議することが可能です。(最高裁平成2・9・27判決)
相続人全員が合意すれば、解除の理由は問われません。

 

遺産分割協議を白紙に戻したときの課税関係

私法上は無効、取消し、又は解除によって遺産分割協議がなかったことになると、新たにおこなった遺産分割協議の結果に基づいて相続財産の帰属が定まることになります。

 

しかしながら、税法上は私法上の効力の有無とは関係なく課税されることがあります。
私法上は、遺産分割協議が無効になったり、取消されたり、解除されたりすると、その遺産分割協議はなかったものとされますが、税法上は遺産分割協議が無効になったり取消されたり、解除されたりしたとしてもその遺産分割協議はあったものとして取扱われ、その遺産分割協議の結果に基づいて課税されることがあります。

 

遺産分割協議が錯誤によって無効となった場合

原則、再協議の結果に基づいて相続税が課税されることになります。
再協議の結果に従って計算した相続税の額が、無効となった遺産分割協議の結果に基づいて納付した相続税の額より少ない場合は、更正の請求により過大に納付した額の還付を受けることができます。

 

遺産分割協議が詐欺、又は強迫を理由に取消された場合

原則、再協議の結果に基づいて相続税が課税されることになります。

 

遺産分割協議を合意解除した場合

合意解除
再度の遺産分割協議の税法上の取扱いは、最初の遺産分割協議によって取得した財産を、あらためて他の相続人に有償又は無償で譲渡したものと扱われます。
つまり、最初の遺産分割協議の結果に基づいて相続税が課税され、その後の再協議の結果によっては、相続人に贈与税、譲渡所得税が課税されることがあるということです。

 

遺産分割協議の結果、思わぬ税金が課されたことを理由とする合意解除
遺産分割には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等評価減など、相続税の負担を軽減するさまざまな特例がありますが、これらを税額軽減の制度を意識しておこなった遺産分割とそうでない遺産分割では相続税の負担額に大きな開きが発生します。このような、課税負担に関する錯誤が要素の錯誤に当たれば、遺産分割協議の無効を主張することができるはずですが、課税負担の軽減のみを目的とする遺産分割協議の無効の主張を無制限に認めてよいのかが問題となります。

 

これに関して地裁判決ではありますが、課税負担に関する錯誤無効の主張を原則認めず、例外的に無効主張を認める要件を示しました。(東京地裁平成21・2・27判決)

原則
法定申告紀元後は、課税負担またはその前提事実の錯誤を理由として当該遺産分割協議の無効を主張することはできない。
例外
@更正請求期間内に、税務署の指摘などではなく、自発的に更正請求をおこなったこと
A更正請求期間内に、新たな遺産分割協議をおこない、当初の遺産分割の経済的成果を完全に消失させていること
B遺産分割協議の内容の変更がやむを得ない事情により誤信の内容を是正する一回的なものであること
上記全ての事情が認められれば遺産分割協議の向こうの主張が許されとしました。
(なお、当時の更正請求期間は1年間で平成23年度税制改革でその期間は5年に延長されています。

 

遺産分割協議のやり直し後の相続登記

登記名義が被相続人名義のままである場合
再協議によって、不動産を取得した相続人名義で、相続登記を申請します。
相続登記に関する情報はこちらから⇒相続登記

 

既に相続登記がなされている場合
最初の遺産分割協議の結果に基づいたなされた相続登記を抹消したうえで、再度の協議によって、不動産を相続した相続人名義の相続登記を申請します。

 

相続による所有権移転登記の抹消登記

申請人
現登記名義人と相続人全員の共同申請

 

登記申請に必要な書類
・登記原因証明情報
報告形式の登記原因証明情報記載例

1 登記申請情報の要領
(1)登記の目的 所有権抹消
(2)登記の原因 平成○年○月○日合意解除
(3)当 事 者 権利者亡甲
           上記相続人B
           上記相続人C
          義務者A
(4)不動産の表示 (省略)

 

2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)被相続人甲は、平成○年○月○日死亡した。
(2)甲の共同相続人A、B及びCは、平成○年○月○日、甲の遺産につき遺産分割協議をおこない、本件  土地はAが取得することを決した。
(3)Aは上記(2)に基づき、相続を原因とする所有権移転登記(○○法務局平成○年○月○日受付第○号登記済)をおこなった。
(4)平成○年○月○日、共同相続人A、B及びCは、再度遺産分割協議をおこなうため、上記(2)の遺産分割協議を合意により解除した。
(5)よって、上記(3)の所有権移転登記の抹消登記をする必要がある。

 

・現登記名義人の登記識別情報又は登記済権利証
・現登記名義人の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)

 

登録免許税
抹消する不動産1個につき1,000円

 

お問い合わせ

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外にお住まいの方もご相談・ご依頼承ります。
不動産登記に関するご相談、ご依頼は名古屋の司法書士八木事務所にお問合せください。

 

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