不正登記防止申出(不動産登記)|名古屋の司法書士八木隆事務所

不正登記防止申出(不動産登記)|名古屋の司法書士八木隆事務所

不動産登記に係る不正登記防止申出制度について

成りすましによる不動産登記の申請がなされるおそれがある場合の対応として、不正登記防止申出という制度があります。ここでは、不動産登記に係る不正登記防止申出とはどのような制度なのかを解説したいと思います。

 

登記官の本人確認
登記官は、登記の申請がなされた場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足る相当な理由があるときは、申請人又はその代表者もしくは代理人に出頭を求め、質問し、又は文書の提示その他の情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請権限の有無を調査しなければならないとされています。

 

上記の登記官の本人確認調査の契機とするために、不正登記防止申出という制度があります。

 

不正登記防止申出
申請人となるべき者本人から、申請人になるべき者に成りすました者が申請するおそれがある場合に、その旨を登記官に申出ることができる制度です。

 

実印、登記済権利証などを盗まれてしまった等の理由により、他人が自身に成りすまして、自身が所有する不動産を乗っ取られてしまう(勝手に登記名義を変更されてしまう)おそれがある場合などに不正登記防止申出をすることができます。

 

(なお、登記識別情報が盗み見られてしまった、登記識別情報通知書を盗まれてしまった場合には登記識別情報の失効の申出をすることができます。)

 

この不正登記防止申出が相当であると認められる場合で、この申出の日から3ヶ月以内に申出に係る登記の申請があったときは、登記官は当該申請人の本人確認調査をすることになります。

 

不正登記防止申出の方法
登記名義人もしくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者もしくは代理人(委任による代理人は除く)(以下「登記名義人等」という)が登記所(法務局)に出頭して申出をおこないます。
郵送による申出はできません。

 

委任による代理人からの申出
登記名義人等が登記所に出頭できないやむを得ない事情があると認められるときは、委任による代理人が登記所に出頭して申出ることができます。

 

やむを得ない事情としては、登記名義人等が遠方に居住しているなどにより、直ちに登記所に出頭することができない場合などが考えられます。

 

不正登記防止申出書の提出
不正登記防止申出をする場合には、以下の書面とともに不正登記防止申出書を登記官に提出しなければなりません。
添付書面
・申出人が申出書に押印した印鑑に係る印鑑証明書
・代表者資格証明書(申出人が法人である場合)
・代理権限証書(代理人によって申出をするとき)

 

不正登記防止申出がなされたときの登記所の対応
登記名義人等から申出があると、登記官は申出人が登記名義人等であること、当該申出人が申出をするに至った経緯及び申出が必要になった理由に対応する措置を採っているかどうかについての確認がなされます。

 

申出人の本人確認
運転免許証等の提示することにより、申出人の本人確認がなされます。
登記名義人の登記記録上の住所と現在の住所が異なるときは、その変更を証する書面(住民票の写し等)の提示も求められます。

 

申出が必要になった理由に対応する措置
申出人は、申出の前提として、申出が必要になった理由に応じて次の装置を講ずる必要があります。
@印章又は印鑑証明書の盗難を理由とする場合
⇒警察等の捜査機関に被害届を提出したこと

 

A第三者が不正に印鑑証明書の交付を受けたことを理由とする場合
⇒当該印鑑証明書を交付した市町村長に当該印鑑証明書を無効とする手続を依頼したこと

 

B本人の知らない間に当該不動産のと利挽きがなされている等の情報を得たことを理由とする場合
⇒警察等の捜査機関又は関係機関への防犯の相談又は告発等をしたこと

 

ただし、申出に緊急を要する場合には、事前に上記措置を講じていなくても、申出は受理される取扱いです。
なお、申出後にこれらの装置を講ずる必要があります。

 

不正登記防止申出つづり込み帳
不正登記防止申出を受理したときは、登記官は不正登記防止申出書類つづり込み帳を作成し、申出書及びその他の添付書面をつづり込みます。

 

不正登記防止申出つづり込み帳の目録に、申出に係る不動産の不動産所在事項、申出人の氏名及び申出年月日が記載され、不正申出が相当である場合には、本人確認の調査を要する旨が記載されます。

 

不正登記防止申出に係る登記申請がなされた場合
不正登記防止申出に係る登記申請がなされたとしても直ちに申請が却下されるわけではなく、登記官が不正登記防止申出があり、その内容が相当であると判断したときに、当該申請人の本人確認を行うことになります。

 

本人確認を行った結果、申請人となるべき者以外の者が申請していると判断したときに、当該申請を却下することになります。

 

不正登記防止申出があった日から3ヶ月以内に申出に係る登記の申請があったときは、速やかに申出者に対してその旨の通知がなされます。

 

本人確認の調査が完了した後も同様に申出者に対してその旨の通知がなされます。

 

 

ブログ執筆者

○司法書士 八木 隆
○名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 瑞穂ハイツ403
○TEL 052-848-8033

 

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