未婚のまま出生した母親が養育費を請求するには|名古屋の司法書士ブログ

未婚のまま出産した母親が養育費を請求するには|名古屋の司法書士ブログ

未婚のまま出生した母親が子の養育費を請求するには

今回のテーマは、『未婚のまま出生した母親が子の養育費を請求するには』です。

 

 

認知

婚姻中の男女の間に生まれた子どもを「嫡出である子」というのに対し、
未婚のまま出産した子どもは、「嫡出でない子」といいます。

 

嫡出でない子は当然には、法律上の父子関係は認められません。
法律上の父子関係を形成するためには、父親の認知が必要になります。
認知により出生時に遡って法律上の父子関係が認められることになります

 

法律上の父子関係が認められないということは、父親に対して扶養を求めることも、父親を相続することもできないので、認知されていない嫡出でない子は法律上の不利益を受けることになります。

 

未認知の子の養育費を請求するには、その前提として父親に認知してもらう必要があります。

 

認知は、父親がその本籍地又は所在地の市町村役場において、認知届を提出することにより行います。

 

父親からの任意の認知をしてもらえないときは、家庭裁判所に認知調停の申し立てを行います。
調停では、当事者双方の間で、子どもが父親の子であるという合意ができ、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がなされます。

 

調停は、相手方(父親)の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てる必要があります。

 

調停で認知の合意ができないときは、家庭裁判所に認知の訴えを提起する必要があります。

 

認知の訴えが認められると、父親の意思とは関係なく認知の効力が生じ法律上の父子関係が形成されます。

 

調停又は裁判で認知が認められた場合でも、市町村役場に届け出を行う必要があります。

 

嫡出でない子の戸籍について

本題から少しそれますが、父親が認知の届け出を行った場合の嫡出でない子の戸籍がどうなるかについて説明します。

 

嫡出でない子が出生すると、母親の戸籍に入籍します。

 

母親が筆頭者とする戸籍があるときはその戸籍に入籍し、母親が親の戸籍に入籍しているときは、母親を筆頭者とする新しい戸籍が編成され、嫡出でない子とともに新戸籍に入籍することになります。

 

父親が認知した場合でも、認知された子が父親の戸籍に入籍することはなく母親の戸籍に在籍したままとなります。
父親が認知を行うと、父親の戸籍の身分事項欄には認知届出をした旨が、嫡出でない子の身分事項欄には、父親から認知届出があった旨及び父親の氏名が記載されます。

 

父親が転籍(本籍地を変更すること)等により、新たな戸籍が編成されると新戸籍には、認知事項は移記されないので、現在戸籍の確認だけでは、認知した子がいるかどうかは判明しません。

 

嫡出でない子が父親の氏を称するにはどうすればよいか

次に嫡出でない子の氏について見ておきましょう。

 

嫡出でない子は母親の氏を称します。

 

父親が認知しただけでは子の氏は変更されません。(母親の氏を称し続けることになります。)
認知された嫡出でない子の氏を父親の氏に変更するには、家庭裁判所に、子の氏の変更審判の申し立てを行い、その許可を得る必要があります。
申立権者は子ですが、子が15歳未満の場合には、母親が法定代理人として申し立てることができます。

 

家庭裁判所が子の氏の変更を許可したときは、許可審判書を添付して、市町村役場に氏の変更届を提出することにより父親の氏への変更の効力が生じます。

 

父親の氏への変更届を行うことにより、母親の戸籍から除籍され、父親の戸籍に入籍することになります。

 

 

養育費の請求

母親は、認知された子の養育費をその父親に対して請求することができます。

 

養育費の額、支払い方法等は父親と母親の話し合いによって決定します。

 

話し合いがまとまったときは、合意事項を執行認諾条項付の公正証書にしておくのが良いでしょう
執行認諾条項付の公正証書にしておけば相手方が支払いを怠ったときに裁判を提起することなく強制執行(相手方の給料などを差し押さえて強制的に養育費を支払わせること)することが可能になります。

 

養育費の支払いについて話し合ったが合意ができなかった、又は話し合いに応じてくれないときは、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることができます。

 

調停では、調停委員が当事者双方から様々な事情を聞いたり助言を行ったりすることにより、円満解決できるように合意形成を促します。当事者間で合意ができたときは、合意内容が調停調書に記載されます。

 

当事者間で合意ができず、調停が不成立となったときは、審判に移行します。審判では、裁判官が一切の事情を考慮して養育費の支払いついて決定します。

 

調停は、月1回のペースで行われ、2〜3回ほどで合意に至ることが多いと言われています。
調停は平日の日中に行われますので、平日にお仕事をされている方は調停期日は仕事を休む必要があります。
又、家庭裁判所には託児所はありませんので、お子様が小さい場合は誰かに預かってもらう必要もあります。

 

まとめ

未婚のままで出生した子どもの養育費を請求するためのステップ

 

1 父親二人してもらう
2 父親が認知してくれないときは、家庭裁判所に認知調停を申し立てる
3 養育費について父親と話し合う
4 養育費について合意ができないときは、家庭裁判所に調停を申し立てる。

 

上記の順番通りに進める必要はなく、認知請求と養育の支払い請求について同時並行で進めれば良いでしょう。

 

認知も養育費の請求も父親が任意に応じてくれないときは、家庭裁判所に申し立てることができますが、調停といえども裁判所で行われる手続であり、裁判所に出頭しなければならないことだけでも、その負担は大きいと思います。でることなら話し合いで解決するのがお互いにとってベストではないでしょうか。

 

ブログ執筆者

○司法書士 八木 隆
○名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 瑞穂ハイツ403
○TEL 052-848-8033

 

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