代表取締役の辞任届に押印する印鑑

取締役会又は取締役の互選により選定された代表取締役と各自代表の取締役又は株主総会で選定された代表取締役では辞任の方法が異なります。

 

代表取締役の辞任

取締役会の決議により選定された代表取締役、取締役会非設置会社で定款の互選規定により、取締役の互選により選定された代表取締役はいつでも単独で代表取締役を辞任することが出来ます。

 

ただし、会社にとって不利益な時期に代表取締役を辞任したときは、やむを得ない理由がある場合を除き、当該代表取締役は会社に生じた損害を賠償しなければならないとされています。

 

辞任の効力は、辞任の意思表示が会社に到達したときに生じるとされていますが、誰がその意思を受領したときに会社に到達したといえるのでしょうか。

 

辞任する代表取締役以外に代表取締役がいる場合は、その者に辞任の意思表示をすることにより会社に到達したとされます。

 

では、辞任する代表取締役以外に代表取締役がいないときはどうでしょうか。

 

裁判例では、取締役会において辞任の意思表示をしたとき、取締役全員に対して辞任の意思表示をしたとき、辞任の意思表示の受領権限を有する幹部職員に辞任の意思表示が到達したとき等に、辞任の意思表示が会社に到達したとされています。

 

取締役会非設置会社で、各自代表取締役の場合や、株主総会により代表取締役を定めた場合の代表取締役は単独では代表取締役を辞任することは出来ないとされています。

 

これは取締役の地位と代表取締役の地位が一体化していることにより、代表取締役の地位のみ切り離してその地位のみを辞することはできないとされているからです。

 

ただし、株主総会において代表取締役の地位のみを辞することにつき、その承認を得ることが出来れば、代表取締役のみを辞任することが可能とされています。

 

代表取締役の辞任届に押印する印鑑

代表取締役が辞任したときは、辞任の効力が生じたときから2週間以内に辞任による代表取締役の退任の登記を申請しなければなりません。

 

この辞任の登記には、退任を証する書面として辞任届を添付することになっています。

 

登記所(法務局)に印鑑を届け出ている代表取締役の辞任の場合には、代表取締役の個人の実印を押印した辞任届(印鑑証明書を添付)または登記所に届け出ている印鑑で押印した辞任届のどちらかを提出しなければなりません。

 

登記所に印鑑を届け出ている代表取締役が、取締役を辞任し、それにより代表取締役の資格を喪失した場合の取締役の辞任届にも個人の実印または登記所届出印を押印しなければなりません。

 

なお、代表取締役でも登記所に印鑑を届け出ていない代表取締役の辞任の場合の辞任届に押印する印鑑は、認印でも差し支えありません。

 

ブログ執筆者

○司法書士 八木 隆
○名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 瑞穂ハイツ403
○TEL 052-848-8033

 

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