事業の譲受会社が譲渡会社の商号を使用する場合の免責の登記

事業の譲受会社が譲渡会社の商号を使用する場合の免責の登記

事業の譲受会社が譲渡会社の商号を使用する場合の免責の登記

事業譲渡により、その事業の譲受会社が譲渡会社の商号を続けて使用する場合には、譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任があります。(会社法22条1項)

要件
@事業譲渡契約の締結
A譲受会社が譲渡会社の商号を使用すること

 

効果
その事業により生じた譲渡会社の債務につき、譲受会社も弁済する責任を負担する

 

譲受会社が譲渡会社の債務の弁済責任を負担しない方法

@免責の登記をする方法
譲受会社の本店所在地の法務局において、譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨の登記をしたときは、譲渡会社の債務につき、譲受会社は弁済する責任を負いません。

 

A弁済責任を負わない旨の通知をする方法
譲受会社及び譲渡会社から第三者に譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨の通知をしたときは、譲渡会社の債務につき、譲受会社は弁済する責任を負いません。

 

登記先例
会社法では免責登記の要件を、事業譲渡により事業を譲り受けた会社が譲渡し会社の商号を引き続き使用する場合とされていますが、登記先例においては、商号の使用ではなくいわゆる屋号の使用の場合、事業譲渡でなく、会社分割により事業を承継した場合でも、免責登記が認められるとされており、登記実務においてもこのような場合でも申請を却下することなく受理していたといわれています。

 

営業(事業)の譲受人が商号を続用しないで、屋号のみを続用する場合においても、免責の登記をすることができる。(登記研究660号208頁)

 

会社分割において営業(事業)を承継した新設会社が当該承継した営業(事業)によって生じた債務について免責の登記をすることができる。(登記研究675号247頁)

 

判例
会社分割に伴いゴルフ場の事業を承継した会社が預託金会員制のゴルフクラブの名称を引き続き使用している場合における事業承継会社の預託金返還義務の有無について争われた裁判において、事業譲渡により事業を譲り受けた会社が譲渡し会社の商号を引き続き使用する場合だけでなく、会社分割により事業を承継し事業主体を表示する名称を使用する場合においても会社法22条1項の規定が類推適用されるとしました。(事業を承継した会社の弁済責任を認めました。)

 

預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において、会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継され、事業を承継した会社が上記名称を引き続き使用しているときには、上記会社が会社分割後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り、上記会社は、会社法22条1項の類推適用により、会員が分割をした会社に交付した預託金の返還義務を負う。(最判平20・6・10)

 

上記最高裁の判決は、上記登記先例とともに、事業譲渡により事業を譲り受けた会社が譲渡し会社の商号を引き続き使用する場合だけでなく、会社分割により事業を承継の場合、商号の続用だけでなく、屋号、承継した事業の事業主体を表示する名称を続用する場合においても免責の登記が可能である根拠になっています。

 

 

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