資本金の額の減少(減資)の登記 | 会社登記は名古屋の司法書士八木隆事務所

資本金の額の減少(減資)の登記 | 司法書士八木事務所(名古屋)

資本金の額の減少(減資)の登記手続

本記事の内容
株式会社が資本金を減少する手続き、特に資本金の額の変更登記(減資の登記)手続きについて、会社法人登記の専門家である司法書士が解説しています。

 

資本金の額の減少の目的

株式会社はその資本金の額を自由に減少させることができ、目的による制限はありません。

 

欠損の填補のための減資
欠損とは、分配可能額がマイナスであることをいいます。
株式会社は、分配可能額の範囲内でしか株主への配当、自己株式の取得ができませんので、配当等をおこなうためには、欠損を解消し分配可能額をプラスにする必要があります。
資本金の額を減少すると、その他資本剰余金が増加するので分配可能額が増加することになります。

 

税法上の優遇を受けるための減資
また、資本金の額が1億円以下の中小企業は、税法上の優遇措置がありますので、資本金の額が1億円超の会社が資本金の額を1億円以下とするために、資本金の額を減少することがあります。

 

資本金の額の減少(減資)の手続き

減資するには株主総会の特別決議が必要
株式会社がその資本金の額を減少するには、株主総会の特別決議が必要になります。
資本金の額の減少に係る株主総会の議事録が、減資登記申請の際の添付書類になります。

 

決議機関の特例
資本金の額を減少するには、株主総会の特別決議が原則必要になりますが、以下のような特例規定があります。

 

・定時株主総会の普通決議
⇒減少する資本金の額が定時株主総会の日における欠損の額を超えないときは、定時株主総会の普通決議で決定することができます。

 

・取締役会の決議(取締役会を置かない会社は取締役の過半数の決定)
⇒株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力発生日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、取締役会の決議(取締役会非設置会社は取締役の過半数の決定)で決定することができます。

 

減資の決議事項
資本金の額を減少するためには、以下の事項を株主総会等の決議により決定します。

決議事項
1 減少する資本金の額
※資本金の額を零円とすることも可能です。だだし、マイナスの資本金は認められていません。

 

2 減少する資本金の額の全部又は一部を資本準備金とするときはその旨及び資本準備金とする額
※減少する資本金の額を資本準備金に計上しないときは、その他資本剰余金に計上します。 
その他資本剰余金は株主への配当及び自己株式の取得の原資となります。

 

3 資本金の額の減少の効力発生日
※効力発生日に資本金の額の減少しますが、その日までに債権者保護手続きが完了していない時は、資本金減少の効力が生じないこととなりますので、効力発生日までに債権者保護手続きが完了しそうでない時は、効力発生日前に効力発生日を変更することができます。

 

効力発生日の変更は取締役会の決議で変更することができます。あらためて変更後の効力発生日を公告する必要はありません。

 

債権者保護手続き

株式会社が資本金を減少する場合、債権者を保護するための手続きを行うことが義務づけられています。

 

債権者保護手続きの内容
@減資公告
債権者に対して減資を行う旨を官報により公告すること

 

A債権者への個別催告
各債権者に減資を行う旨を通知する手続き

資本金の額を減少すると、会社資金が外部に流出する可能性が減少前より高くなりますので、会社財産が唯一の引当である債権者に対して資本金の額の減少について異議を述べる機会を与え、債権者が損害を蒙らない様に会社債権者の保護を図っています。

減資の登記申請の際、官報掲載紙及び催告書の控えが添付書類になります。

 

@官報公告
資本金の額の減少の効力発生日までに1ヶ月を下回らない一定の期間を定め以下の事項を官報で公告しなければなりません。

公告・催告事項
1 資本金を減少の内容
2 会社の計算に関する事項
3 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

 

A債権者への個別催告
知れている債権者に対して上記催告事項を個別に催告しなければなりません。
催告の方法に関しては法定されていませんが、通常催告書を債権者に宛に郵送する方法が採られています。

 

二重催告とは
定款で定めた公告方法が、時事に関する日刊紙に掲載する方法又は電子公告である会社は、定款で定めた公告方法により一定事項を公告すれば、債権者への個別催告を省略することができます。

定款で定める公告方法 個別催告の省略の可否
官報 不可
日刊新聞紙 定款で定める日刊新聞紙により公告したときは省略可
電子公告 電子公告を行ったときは省略可

 

債権者が異議を述べなかったとき
異議申述期間内に異議を述べなかった債権者は、資本金の額の減少について承認したものとみなされます。

 

債権者が異議を述べたとき会社の対応
減資することに対して債権者から異議があったときは、会社は次のような対応が求められます。

@異議を述べた債権者に対して弁済する
A異議を述べた債権者のために担保を設定する。
B異議を述べた当該債権者のために相当の財産を信託する。

ただし、資本金の額を減少しても異議を述べた債権者に損害をあたえるおそれがない時は、弁済等する必要はありません。

 

資本金の額の減少(減資)の登記手続

資本金の額は登記事項であるので、資本金の額が減少したときは、資本金の額の変更登記をする必要があります。

 

登記申請期間
(株主総会の決議で定めた減資の効力発生日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に、資本金の額の変更登記を申請しなければなりません。

 

申請期限経過後の登記申請に対しては、100万円以下の過料に処せられることがあります。

 

登記すべき事項
変更後の資本金の額及び変更年月日

 

登記申請に必要な書類

・決議機関に応じた議事録等
  株主総会議事録
  取締役会議事録(または取締役決定書)

 

・株主リスト

 

・一定の欠損の額が存在することを証する書面(定時総会で欠損の額の範囲内で減資する場合)
  代表取締役作成の証明書

 

・公告をしたことを証する書面
  官報掲載紙の写し(原本証明付)

 

・債権者に個別催告をしたことを証する書面
  催告書1通に催告債権者名簿を合綴したもの(代表取締役の記名押印)

 

・定款で定めた公告方法で公告したことを証する書面(二重公告の場合)
  日刊新聞紙の該当頁
  電子調査機関の調査報告書

 

・異議を述べた債権者がいる場合
  弁済したことを証する書面、担保権を設定したことを証する書面、信託したことを証する書面

 

・異議を述べた債権者がいるが、その者に損害をあたえるおそれがない場合
  異議を述べた債権者に損害をあたえるおそれがないことを証する書面

 

登録免許税
3万円

 

 

減資にかかる主な費用

株式会社が減資を行う場合にかかる主な費用は次のとおりです。

 

登録免許税
資本金の額の変更登記の申請の際、登録免許税を納付しなければなりません。
減資による資本金の額の変更登記の登録免許税は、申請1件につき3万円です。

 

官報掲載料
減資を行う場合、必ず官報公告が必要になります。
減資公告の掲載料は次のとおりです。
・減資公告のみ 61,018円(17行の場合)
・減資公告+決算公告の同時公告 148,662円(4枠)
※直近の決算公告を行っていない場合

 

司法書士手数料
登記申請を司法書士に依頼する場合の手数料
司法書士に支払う手数料の額は、各司法書士により異なります

 

当事務所の手数料(報酬)の目安を料金表に記載していますのでご確認ください。
当事務所の料金表

 

資本金の額の減少登記に関するお問い合わせ

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外にお住まいの方もご相談・ご依頼承りますので、お気軽にお問合せください。(会社登記は全国対応いたします。)

 

御社が遠方の場合、必ずしもご来所いただかなくても、お電話、メール、郵送等でお取引が可能です。

 

司法書士は会社・法人登記の専門家です。
資本金減少の登記のご相談は、名古屋の司法書士八木事務所までお問合せください。

 

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