みなし解散登記がなされた休眠会社の会社継続の登記

会社を解散していないのに、自社の登記簿に「会社法第472条第1項の規定により解散」と登記されてしまう会社があります。
「会社法第472条第1項の規定により解散」とは何を意味するのか、この解散の登記がなされたときに必要となる手続きは何かについて司法書士が解説致します。

会社法第472条第1項の規定により解散とは(休眠会社のみなし解散)

「会社法第472条第1項の規定により解散」とは、最後の登記から12年が経過している株式会社が、休眠会社の整理として職権により解散させられたことを意味します。

 

この職権解散のことを休眠会社のみなし解散と呼んでいます。

 

会社が解散すると、その会社は、以後「清算会社」として事業(営業)活動を行うことができず、清算手続きを行うためだけに存在する会社となります。

みなし解散の登記がなされた会社様
みなし解散の登記がなされた会社が引き続き事業を継続する場合、以下説明のとおり会社継続の登記を、管轄法務局に申請する必要があります。
みなし解散の場合、会社継続を決定することができるのはみなし解散の日から3年以内ですので、みなし解散がなされたが引き続き事業を行う場合は、速やかに会社継続の登記申請を行ってください。
当事務所でも、会社継続の手続きのご相談、ご依頼を承っております。

 

 

休眠会社の整理手続(みなし解散)

最後の登記から12年以上登記がされていない株式会社について、法律の規定に基づき、法務大臣の公告を行い且つ管轄登記所から通知書の発送がなされます。

 

(株式会社の取締役の任期は最長10年ですので、少なくとも10年に1回は、必ず登記がなされることになることから、12年間登記がなされていない会社が休眠会社整理の対象会社となります。)

 

この公告の日から2ヶ月以内に事業を廃止していない旨の届出又は何らかの会社登記をしなければ、公告の日から2ヶ月を経過した日に、会社は解散したものとみなされます。

 

会社が解散したものとみなされると、登記官の職権により解散登記がなされます。

 

令和3年度は次のように休眠会社の整理手続がおこなわれました。
@令和3年10月14日に、法務大臣の公告がなされました。
A令和3年10月14日の時点で、最後の登記をしてから12年を経過している株式会社が対象になります。
B令和3年10月14日付けで、通知書が発送されました。
C令和3年12月14日までに、「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく且つ登記の申請もなかった休眠会社については、令和3年12月15日付けで解散したものとみなされました。
D登記官の職権により令和3年12月15日付解散登記がなされました。

 

商号変更をしている又は本店移転をしているにもかかわらず、その登記をしていない場合には、管轄法務局からの通知書が届いていない可能性があります。

 

「会社法第472条第1項の規定により解散」の登記がなされたときに必要な手続きとは

「会社法第472条第1項の規定により解散」、いわゆる、みなし解散の登記がなされた休眠会社がその事業を継続するには、みなし解散登記がなされた日から3年以内に、株主総会で会社を継続する旨の決議をすることにより、株式会社を継続することができます

 

実際に事業を行っていない場合は、清算手続きを行い、会社を閉鎖します。(清算結了)

 

会社継続の手続

ここでは、みなし解散登記がなされた取締役会及び監査役を設置していた会社が、会社継続後は取締役会及び監査役を置かない会社として継続する場合の手続を説明します。

 

@株主総会の招集

みなし解散登記がなされた休眠会社を継続するためには、株主総会の特別決議が必要になります。

 

みなし解散登記がなされると当該会社は清算株式会社となり、その職務は法定清算人が行うことになりますので、法定清算人が株主総会の招集を決定します。

 

法定清算人とは
解散時に定款で定めた清算人又は株主総会で定めた清算人がいない場合は、解散時の取締役が清算人となります。この清算人のことを法定清算人と呼んでいます。

 

みなし解散の場合は、法定清算人が就任することになります。

 

A株主総会

株主総会の特別決議により会社を継続することを決定します。

 

取締役会の廃止
取締役会を廃止するには、取締役会設置会社である旨の定款の定めを廃止する定款変更が必要になります。

 

監査役の廃止
監査役を廃止するには、監査役設置会社である旨の定款の定めを廃止する定款変更が必要になります。

 

現任の監査役の退任
監査役は会社が解散しても退任せず任期に関する規定が適用されなくなります。

 

ただし、解散した会社を継続する場合には、任期に関する規定が再び適用されることになりますので、すでに任期が満了になっている監査役は任期満了日に、まだ任期が残っている監査役は、監査役を廃止する定款変更日に退任することになります。

 

株式の譲渡制限に関する規定の変更
譲渡制限株式の承認機関が取締役会となっている場合は、承認機関を会社又は株主総会とする譲渡承認機関に関する定款を変更する必要があります。

 

取締役の選任
会社が解散すると取締役は退任することになるので、会社を継続する場合には、あらためた取締役を株主総会により選任する必要があります。
取締役会を置かない会社であれば取締役は1名選任すれば足ります。

 

代表取締役の選定
取締役を1名選任した場合は、その者が当然代表取締役になります。

 

取締役を複数選任した場合には、定款で直接定めることにより、株主総会の決議により又は定款の定めに基づき取締役の互選により代表取締役を選定することができます。

 

上記により、代表取締役を定めていない場合は、各自が代表取締役になります。

 

会社継続の登記

株主総会の決議の日から2週間以内に管轄法務局に登記を申請する必要があります。

 

登記すべき事項
・清算人及び代表清算人の就任
・会社継続
・取締役、代表取締役の就任
・監査役設置会社の定めの廃止
・監査役の退任
・株式の譲渡制限に関する規定の変更

 

※取締役会の定めの廃止は、みなし解散登記の際、取締役会設置会社の定めが職権で抹消されているので、取締役会設置会社の定めの廃止の登記は不要です。

 

必要な書類
・定款
・株主総会議事録
※議事録には議長及び出席取締役が市町村に登録している印鑑で押印し、印鑑証明書を添付します。
・株主リスト
・取締役の就任承諾書
・印鑑届書

 

登録免許税 
7万9千円
内訳
・清算人及び代表清算人の登記 9千円
・会社継続の登記 3万円
・取締役、代表取締役及び監査役の変更登記 1万円(資本金1億円以下の会社)
・監査役設置会社の定めの廃止及び株式の譲渡制限に関する規定の変更 3万円

 

過料について
なお、みなし解散の登記がなされた休眠会社が会社継続の登記を申請すると、登記懈怠等として登記官より裁判所に過料事件として通知がなされ、裁判所より100万円以下の過料の処分がなされる可能性が高いので注意を要します。

 

司法書士へのご相談、お問い合せ

みなし解散がなされた会社が引き続き事業を継続するためには、管轄の法務局に継続の登記を申請しなければなりません。
みなし解散がなされた会社を継続するのであれば、速やかに所定の手続きを行ってください。
みなし解散の会社継続の手続きでお困りの会社様は、是非司法書士にご相談ください。

 

司法書士報酬(手数料)の目安
取締役会を置かない会社 44,000円
取締役会設置会社    55,000円

 

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