特例有限会社の代表取締役の交代
取締役が代表取締役A及び取締役B2名の特例有限会社において、現代表取締役Aが代表取締役のみを辞任し、取締役であるBが新代表取締役に就任するための手続を説明します。
まずは、特例有限会社の代表取締役の選定について説明します。
代表取締役の選定方法
特例有限会社に取締役を数名選任した場合、取締役の中から代表取締役を選定することができます。
代表取締役の選定方法は次のとおりです。
@定款に直接代表取締役を定める
A株主総会の決議により定める
B定款の規定により、取締役の互選で定める
Aの株主総会の決議により定める場合は、定款に株主総会で代表取締役を定める旨の規定がなくても株主総会で代表取締役を定めることができます。(ただし、Bの取締役の互選規定を定款で定めている場合は、株主総会で代表取締役を定めることはできません。)
Bの取締役の互選により定める場合は、定款に取締役の互選で代表取締役を定める旨の規定を置いていなければ取締役の互選で代表取締役を定めることはできません。
上記@からBの方法により代表取締役を定めていない場合は、取締役各自が代表取締役になります。
代表取締役の辞任と後任代表取締役の選任
@代表取締役Aが定款で定められている場合
例えば、「当会社は、A及びBを取締役とし、Aを代表取締役とする。」といった内容の定款がある場合、Aは代表取締役のみの辞任はできず、Aが代表取締役のみを辞任するには、上記定款規定を変更する必要があります。
Bを代表取締役にしたい場合は、「当会社は、A及びBを取締役とし、Bを代表取締役とする。」というふにに定款を変更するか、代表取締役を直接定めた定款規定を削除し、上記のような定款規定を定めず、株主総会でBを代表取締役に選定することが考えられます。
A代表取締役Aが株主総会の決議により定められている場合
この場合も上記@と同様に、Aは、代表取締役のみを辞任することはできません。
Aが代表取締役のみを辞任するには、株主総会の決議で辞任することについての承認を得る必要があります。
株主総会の承認により、Aが代表取締役のみを辞任した場合でも、取締役Bの代表権は当然には復活しませんので、
後任としてBを代表取締役にするには、株主総会の決議によりBを代表取締役に選定する必要があります。
B代表取締役Aが定款の互選規定により定められている場合
定款の定めに基づく取締役の互選により代表取締役になった者は、代表取締役の地位のみを辞任することができます。
Aは代表取締役のみを辞任することができます。
後任としてBを代表取締役にするには、取締役の互選によりBを代表取締役に選定します。
代表取締役の変更登記
変更の日から2週間以内に代表取締役の変更登記を申請します。
登記申請は新代表取締役Bが行います。
登記必要書類
@定款で定めている場合 | A株主総会で定めている場合 | B取締役の互選により定めている場合 |
株主総会議事録
ただし、Aが法務局に届け出ている印鑑(会社実印)で押印している場合は、Bは認印でも差し支えありません。
Bの就任承諾書
なお、株主総会議事録に被選任者は席上その就任を承諾した旨の記載があれば、就任承諾書の添付を省略することができます。
印鑑届書
印鑑届書には、法務局に届け出る印鑑及びBが市町村に登録している印鑑(個人実印)を押印し、作成後3ヶ月以内の印鑑証明書を添付する必要があります。 |
株主総会議事録
ただし、Aが法務局に届け出ている印鑑(会社実印)で押印している場合は、Bは認印でも差し支えありません。
Bの就任承諾書
なお、株主総会議事録に被選任者は席上その就任を承諾した旨の記載があれば、就任承諾書の添付を省略することができます。
印鑑届書
印鑑届書には、法務局に届け出る印鑑及びBが市町村に登録している印鑑(個人実印)を押印し、作成後3ヶ月以内の印鑑証明書を添付する必要があります。 |
Aの辞任届
個人の実印で押印した場合は、市町村が作成する印鑑証明書を添付する必要があります。
取締役の互選書
なお、互選書に被選定者は席上その就任を承諾した旨の記載があれば、就任承諾書は必要ありません。
定款
印鑑届書
印鑑届書には、法務局に届け出る印鑑及びBが市町村に登録している印鑑(個人実印)を押印し、作成後3ヶ月以内の印鑑証明書を添付する必要があります。 |
登録免許税
1万円(資本金の額が1億円を超える場合は3万円)
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