特例有限会社の商号変更による株式会社の設立

特例有限会社は商号中に株式会社という文字を用いる商号変更し、特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記を申請することにより通常の株式会社へ移行することができます。

 

特例有限会社から株式会社に移行するメリット・デメリット

メリット
@有限会社より相対的に信用力が増す(ネームバリュー)
以前は株式会社を設立するには1,000万円以上の資本金が、有限会社を設立するには300万円以上の資本金が必要とされていました。(現在最低資本金制度は廃止されています。)
そのことから有限会社より株式会社のほうが資本金の面で信用性が高いとされていました。

 

ただし、会社の信用は、創業年数が長い、財務状況の健全である代表個人の人柄など様々な要因により得られるものであり、現在は株式会社でも1円から設立することができることから、有限会社を株式会社に変更したとしてもそれだけで会社の信用が大きく増すことはありませんが、それでも会社と言えば株式会社をイメージする人が多いのも事実です。

 

A取締役が1名であっても「代表取締役 何某」として登記される
取締役1名の株式会社の登記記録の役員欄には「取締役A」、「代表取締役(住所)A」と記録されます。
それに対した取締役1名の特例有限会社の場合、「取締役(住所)A」として登記され、代表取締役の肩書きでは登記されません。

 

代表権を有する取締役であるにもかかわらず、登記の仕組みを知らない人が見ると代表権を有しない取締役(平取締役)であると誤解されることがあります。

 

特例有限会社のままで代表取締役として登記したい場合には、取締役を複数選任して、そのうちの1名を代表取締役に選定する方法があります。

 

B合併、会社分割等の組織再編行為が行える
特例有限会社は吸収合併存続会社、吸収分割承継会社になることができません。
ただし、特例有限会社が吸収される合併(吸収合併消滅会社)、特例有限会社がその事業の全部又は一部を分割し他の会社に承継させる会社分割(分割会社)は行うことができます。

 

デメリット
@決算公告が義務づけられる
株式会社は貸借対照表等の決算書を定款で定める公告方法により公告しなければなりません。
官報公告ですと、最低6万円程度の費用がかかります。

 

A取締役等の役員改選時に登記手続が必要となる
特例有限会社は任期の上限がないのに対し、通常の株式会社ですと取締役の任期は2年(非公開会社であれば最長10年まで伸長することができます)で、同一人を再選する場合でも取締役の変更登記が必要になります。

 

 

特例有限会社から株式会社への移行の手順

・株主総会を開催して商号変更に関す定款の変更決議を行います。

 

・取締役の選任が必要な場合は、株主総会で移行後の株式会社の取締役を選任します。

 

・決議後2週間以内に特例有限会社の商号変更による株式会社の設立登記を申請します。

 

・登記申請時に有限会社から株式会社へと移行します。

 

株主総会による定款変更の決議

定款を変更して、商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更を行います。

 

商号を変更するためには、株主総会の特別決議により定款を変更します。

特例有限会社の株主総会の特別決議の要件
総株主の半数以上であって、当該株主の議決権の4分の3以上に当たる多数をもって行います。

 

通常の株式会社のそれより要件が厳しくなっています。

通常の株式会社の特別決議の要件
当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数以上を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。

 

商号中、会社の種類を表す部分以外の部分を、特例有限会社の時とは異なるものに変更することも可能です。
有限会社○○⇒株式会社△△

 

株式会社移行の際の定款変更は、商号だけでなく、その他の定款記載事項も変更することができます。

@発行可能株式総数
将来、増資する予定がある場合、発行可能株式総数を増加させておきます。

 

A目的
新規の事業を行う又はその予定がある場合には、会社の目的を変更しておきます。

 

B機関設計
取締役会、監査役、会計参与等を設置するにはその旨の定款に定める必要があります。

 

C会計限定監査(非公開会社のみ可)
監査役の権限を会計に関するものに限定する場合には、その旨を定款に定める必要があります。

 

取締役・代表取締役の選任

取締役の任期
特例有限会社には法定された任期の上限はありません(定款で定めることは可能)が、通常の株式会社に移行すると会社法の任期に関する規定が適用されることになります。

 

株式会社への移行時において、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時(移行後の株式会社の定款で取締役の任期を伸長した場合は、その任期満了時)を経過しているときは、その取締役は、株式会社への移行時(移行登記申請日)に任期満了により退任します。

 

株式会社への移行後も引き続き取締役となるためには、株主総会で再選任する必要があります。

 

代表取締役の選定方法
株式会社への移行時に代表取締役が退任する場合には、代表取締役を選定しておく必要があります。

@定款の附則に記載する方法
株式会社移行後に取締役会を設置する場合は、特例有限会社は取締役会を設置することができず、移行前は取締役会を開催することができないので、直接定款に株式会社へ移行後の最初の代表取締役の氏名を記載することにより選定します。

 

A定款の定めによる取締役の互選
互選時の取締役の構成員と株式会社移行時の取締役の構成員が同じ場合に限り、取締役の互選により代表取締役を予選することができます。

 

B株主総会の決議により選定

 

株式会社移行の登記申請手続

商号変更による株式会社へ移行するには、登記する必要があります。

 

特例有限会社については解散登記を、移行後の株式会社は設立の登記を申請します。

 

解散登記と設立登記を同時に申請しなければなりません。

 

商号変更(株式会社への移行)の効力は登記申請日に生じます。

 

印鑑届
株式会社に移行後の代表取締役は法務局に改めて印鑑の届出が必要になります。

 

届出る印鑑は、有限会社時代に使用していた印鑑でも法律上は問題ありませんが、印鑑に記載されている商号と株式会社に移行後の商号が異なると紛らわしいので、新たな商号が記載された印鑑を作成した方がいいでしょう。

 

登記費用

司法書士報酬 50,000円(税別)
登記申請書、株主総会議事録等の添付書類の作成、申請代理、登記完了後の謄本の取得代行を含む価格です。

 

登録免許税 60,000円
※資本金の額が2,000万円を超える場合、又は株式会社への移行と同時に増資する場合はお見積りいたしますのでご相談ください。

 

※その他の実費(郵送代、謄本代、登記情報提供サービス利用料等)頂戴します。

 

特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記のご相談・ご依頼

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外からもご相談・ご依頼を承りますので、お気軽にお問合せください。(会社登記は全国対応いたします。)

 

御社が遠方の場合、必ずしもご来所いただかなくても、お電話、メール、郵送等でお取引が可能です。

 

司法書士は会社・法人登記の専門家です。
特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記のご依頼をお考えの方は、名古屋の司法書士八木事務所までお問合せください。

 

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