合資会社の唯一の無限責任社員の死亡による合同会社への種類変更

無限責任社員1名および有限責任社員1名の社員で構成される合資会社において、唯一の無限責任社員が死亡した場合、この合資会社はどうなるでしょうか。

 

答えは、会社の種類が合資会社から合同会社に変わってしまうのです。

 

合資会社とは
合資会社とは、無限責任社員と有限責任社員で構成される社員間の信頼関係により成り立っている人的会社とされています。

 

無限責任社員とは
会社が債務超過の場合、会社債権者に対して個人財産をもって返済する義務を負う社員のことをいいます。

 

有限責任社員とは
会社債権者に対して、出資額を限度に責任を負担する社員のことをいいます。

定款に社員が死亡した場合、その持分は相続人に承継される旨の定めがなければ、死亡により社員は退社することになります。

 

唯一の無限責任社員が死亡により退社すると、当該合資会社は有限責任社員のみとなってしまし、無限責任社員と有限責任社員によって構成するといった合資会社の要件を満たさなくなってしまいます。

 

このような場合、旧商法の時代は原則、合資会社は解散するとされていました。

 

しかし、会社法ではこの場合でも、合資会社が解散することなく会社を継続できるよう、「合同会社となる定款の変更をしたものとみなす」という規定を置きました。

 

この規定により、唯一の無限責任社員の死亡退社により、有限責任社員のみになった合資会社は、以後は、合同会社として存続することになります。

 

合同会社とは、有限責任社員のみにより構成される会社のことをいいます。

 

逆に唯一の有限責任社員が死亡等により退社し、無限責任社員のみになった合資会社は、合名会社となる定款の変更をしたものとみなされ、以後は合名会社として存続することになります。

 

合名会社とは、無限責任社員のみにより構成される会社のことをいいます。

 

合同会社となる定款の変更をしたものとみなされた場合、みなし定款変更の日から、2週間以内に、@合同会社の設立登記、A合資会社の解散登記を同時に申請する必要があります。

 

合資会社として事業を継続したい場合

唯一の無限責任社員が死亡退社したことにより、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされたが、やはり合資会社として存続したい場合はどのような手続をすればよいのでしょうか。

 

この場合は、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされた後に、合同会社から合資会社への種類変更をする
必要があります。

 

ただ、一旦、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされてしまうと、合同会社への種類変更をなかったことにはできないので、合資会社→合同会社(みなし変更)→合資会社(種類変更)という変遷になります。

 

種類変更の手続
合資会社への種類変更の手続としては、新たに無限責任社員を加入させるか又は、有限責任社員を無限責任社員に変更し、社員構成が無限責任社員及び有限責任社員となるように定款を変更します。

 

登記手続

@合同会社の設立登記
A合資会社の解散登記
B無限責任社員の死亡退社の登記
C合資会社の設立の登記
D合同会社の解散登記

合同会社となる定款の変更をしたものとみなされた後に、合同会社から合資会社への種類変更する場合には、少なくとも5つの登記を申請する必要があります。(@からBまでの登記を同時に申請し、その後CDの登記を同時に申請します。)

 

合資会社として会社を継続することを望む場合の事前対策

@合資会社の社員構成を、無限責任社員及び有限責任社員を各2名以上とすることにより、社員の1人が死亡したとしても、無限責任社員のみ(または有限責任社員のみ)にならないようにしておく

 

A社員が死亡した場合には、その相続人が社員の地位を相続する旨の定款規定を設ける方法
この定款規定を設けることにより唯一の無限責任社員が死亡したとしても、その相続人が無限責任社員の地位を相続により承継することになるので、有限責任社員のみになることを防ぐことができます。

 

 

登記のご相談・ご依頼

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外からもご相談・ご依頼を承りますので、お気軽にお問合せください。(会社登記は全国対応いたします。)

 

御社が遠方の場合、必ずしもご来所いただかなくても、お電話、メール、郵送等でお取引が可能です。

 

司法書士は会社・法人登記の専門家です。
登記のご相談、ご依頼は、名古屋の司法書士八木事務所までお問合せください。
お見積もりは無料ですので、お気軽にお問合せください

 

お問い合わせ

登記手続のご依頼、お見積りのご依頼、ご相談等はお問い合わせフォーム又はお電話からお願いします。

 

お問い合わせフォームによるお問い合わせの場合、24時間以内の返信いたします。
ただし、土日祝日を挟む場合、要調査のご相談の場合等、24時間以内に返信できないこともありますのでご了承ください。
返信はメールにより行いますので、メールアドレスのご記入はお間違えのないようにお願いします。

 

お問い合わせフォーム

 


 

お電話でのお問い合わせ

お電話によるお問い合わせは下記の電話番号におかけください。

 

TEL 052-848-8033

 

〈受付時間〉
平日10:00〜20:00(土日祝日も事務所いるときは対応いたします。)

 

事務所所在地

467-0056
名古屋市瑞穂区白砂町2丁目9番地 瑞穂ハイツ403号
司法書士八木隆事務所

トップへ戻る