本店移転の登記手続

本記事の内容
会社の本店移転の手続きについて、特に本店移転登記について、会社法人登記の専門家である司法書士が解説しています。

 

 

本店移転の手続

会社の本店移転の手続き
@定款の変更
本店の移転場所により、定款を変更しなければならないことがあります。

 

A本店移転場所等の決定
本店の移転場所及び移転時期を取締役会等の決議により決定します。

 

B本店移転登記の申請
本店を移転したときは、本店移転登記の申請が必要になります。

 

@定款の変更

会社が本店を移転する場合、本店の移転場所により定款変更が必要な場合と不要な場合があります。
以下で、具体的な事例で説明します。

〜定款変更が必要な場合〜
@管轄外移転(現本店所在地を管轄する法務局の管轄外に本店を移転する場合)
例)本店を名古屋市(名古屋法務局本局管轄)から豊橋市(名古屋法務局岡崎支局管轄)へ移転する場合

 

A管轄内移転(現本店所在地を管轄する法務局の管轄内に本店を移転する場合)
(1)定款で本店所在地を地番まで定めている場合
例)定款で本店所在地を、「名古屋市中区○○一丁目2番3号」と定めている場合。

 

(2)定款で本店所在地を最小行政区画(市町村、東京23区)まで定めている場合で最小行政区画外に本店を移転する場合。
例)定款で本店所在地を「名古屋市」と定めており、本店を名古屋市から同一管内である愛知県春日井市(名古屋法務局本局管轄)に移転する場合

 

〜定款変更が不要な場合〜
・定款で本店所在地を最小行政区画まで定めている場合で最小行政区画内に本店を移転する場合。
例)定款で本店所在地を「名古屋市」と定めており、本店を名古屋市内の別の場所に移転に移転する場合

 

定款変更の決議機関
@株式会社の場合
株式会社が定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要になります。

 

A特例有限会社の場合
特例有限会社は法律上株式会社ですので、通常の株式会社と同様に株主総会の特別決議により定款を変更します。

 

特例有限会社の株主総会の特別決議の要件
総株主の半数以上であって、当該株主の議決権の4分の3以上に当たる多数をもって行います。
通常の株式会社の要件より加重されています。

 

B合同会社の場合
総社員の同意により定款を変更します。
ただし、定款変更につき定款で別段の定めをしているときは、その定めに従い定款を変更します。

 

【株主総会議事録サンプル】

臨時株主総会議事録

 

(略)
議案 定款一部変更の件
議長は、業務の都合上、本店を名古屋市に移転する必要があることを詳細に説明し、定款第3条を下記のとおり変更したい旨を述べ、その賛否を議場に諮ったところ、全員一致をもってこれを承認し、可決した。 

 

第3条 当会社は、本店を名古屋市に置く。
(以下省略)

 

A本店移転場所等の決定

会社が本店を移転するには本店の移転場所及び移転時期を決定します。
本店移転場所等の決定機関は、次のとおりです。

 

本店移転場所及び移転時期の決定機関
@株式会社の場合
(1)取締役会を置く会社
取締役会の決議により決定します

 

(2)取締役会を置かない会社
取締役の過半数の一致により決定します。

 

A特例有限会社の場合
取締役の過半数の一致により決定します。
(特例有限会社は取締役会を置くことができません。)

 

B合同会社の場合
業務執行社員の過半数の一致により決定します。

 

取締役会決議での移転時期の定め方

・具体的な日時を定める 
 平成○年○月○日に本店を移転する

 

・概括的に移転時期を定める
 「4月1日から同月10日までの間に本店を移転する」
 「4月10日頃に本店を移転する」
 ⇒現実に本店を移転した日が決議の範囲内であれば、登記は受理される取扱です。

 

・現実に本店を移転した日以後に、取締役会の決議があった場合は取締役会決議のあった日が本店移転日となります。

 

【取締役会議事録サンプル】

取締役会議事録

 

(略)
議案 本店移転の件
議長は、令和○年○月○日に開催された臨時株主総会で定款第3条の変更の決議がなされたことをうけ、本店を下記のとおり移転させる旨を諮ったところ、全員一致をもってこれを承認、可決した。

 

移転場所 名古屋市○○区○○町一丁目2番3号○○ビル102号
移転時期 令和○年○月○日
(以下省略)

 

【取締役決定書サンプル】

取締役決定書

 

令和○年○月○日午前○時、当社本店会議室において、取締役全員が出席し、その全員一致をもって次の事項を承認可決した。

 

本店移転の件
令和○年○月○日に開催された臨時株主総会で定款第3条の変更の決議がなされたことをうけ、当会社の本店を下記のとおり移転させること

 

移転場所 名古屋市○○区○○町一丁目2番3号○○ビル102号
移転時期 令和○年○月○日

 

上記決定事項を証するため、この決定書を作成し、取締役の全員がこれに記名押印する。
(以下省略)

 

 

B本店移転の登記申請

会社が本店を移転したときは、本店移転の登記を申請しなければなりません。

 

登記申請期間
現実に本店を移転した日から、本店所在地では2週間以内に、支店所在地では3週間以内に本店移転の登記を申請しなければなりません。

 

本店移転登記に必要な書類
株式会社及び特例有限会社の場合
・取締役会議事録又は取締役決定書
・株主総会議事録及び株主リスト(本店移転につき定款変更をした場合に必要)
・印鑑届書(管轄外に本店を移転した場合に必要)

 

合同会社の場合
・業務執行社員の決定書
・総社員の同意書(本店移転つき定款を変更した場合に必要)
・印鑑届書(管轄外に本店を移転した場合に必要)

 

本店所在地の登記記載方法
・政令指定都市および都道府県名と同一名称の市に本店を移転する場合、都道府県名を省略して登記することができます。

 

・本店が名古屋市の場合 
⇒愛知県を省略して、名古屋市から登記可能(政令指定都市)

 

・本店が岐阜市の場合  
⇒岐阜県を省略して、岐阜市から登記可能(県名と市名が同一)

 

・本店が津市の場合   
⇒三重県津市〜と登記(政令指定都市でもなく、県名と市名も同一でないから県名を省略できません。)

 

・本店住所のビル名または部屋番号は省略して登記することができます。
本店が名古屋市○○区○○町一丁目2番3号○○ビル102号の場合
名古屋市○○区○○町一丁目2番3号○○ビルもしくは名古屋市○○区○○町一丁目2番3号で登記可

 

本店移転登記の費用

登録免許税
本店移転登記の申請の際、登録免許税を納付しなければなりません。

 

@本店所在地の管轄内で移転する場合
30,000円

 

A本店所在地の管轄外で移転する場合
60,000円(旧本店所在地30,000円+新本店所在地30,000円)

 

B支店所在地で登記がなされている場合
9,000円(支店所在地分)

 

司法書士手数料
司法書士に登記申請を依頼する場合、司法書士へ支払う手数料が発生します。
司法書士に支払う手数料の額は、各司法書士により異なります。
当事務所の手数料(報酬)の目安を料金表に記載していますのでご確認ください
当事務所の料金表

 

本店移転登記のご相談・ご依頼

愛知県名古屋市を中心に業務を行っていますが、愛知県以外からもご相談・ご依頼を承りますので、お気軽にお問合せください。(会社登記は全国対応いたします。)

 

御社が遠方の場合、必ずしもご来所いただかなくても、お電話、メール、郵送等でお取引が可能です。

 

司法書士は会社・法人登記の専門家です。
本店移転をお考えの方は、名古屋の司法書士八木事務所までお問合せください。

 

 

登記のご相談、登記費用のお見積りを無料でおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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